阿部・桑田は水面下で"手打ち"済み ゴジラ松井「監督辞退」で三つ巴裏抗争
「確かに、これなら阿部慎之助、桑田真澄、松井秀喜の3氏が"WINーWINーWIN”になれる。全員が少しずつ損をして全体でハッピーになる、古典落語の『三方一両損』のような大岡(越前)裁き。いかにも戦略に長けた読売らしい哲学」
そう話すのは、巨人事情に詳しい放送局幹部。
当初、巨人は阿部監督が任期満了となる2026年で退任し、松井氏への円満バトンを描いていた。しかし戦力不足と家族の強い反対で立ち消えに…。
次期監督を巡る様相が一変した。
しかし、ミスター巨人軍・長嶋茂雄氏が昨年6月に死去、“チームの顔”岡本和真(29)が今季からMLBに転身と立て続けに大看板を失い、球界の盟主とはいえども人気低迷が懸念されている。監督辞退の真の理由はそこにある。
「チームが勝つための人事なら、おそらくは受けたが、チームの人気を取り戻すための非常措置というのでは…。今のチーム状況は長嶋監督1年目と酷似している。人気は爆発したが、選手・長嶋の引退で戦力がダウンし最下位に…。その覆轍を踏むことを憂慮して(監督受諾は)今じゃない。そう判断したのでしょう」(松井氏に詳しい記者)
複数の巨人関係者によれば、本社首脳も"今、監督についても消耗するだけ"と理解を示し、築地スタジアムへの本拠地移転('32年)、巨人の第2創業の局面での擁立にスイッチ。
その間の立て直しに阿部氏と桑田氏の協力は欠かせない。そこで両者に水面下で和睦を求め、すでに"手打ち”を済ませているという。
とはいえ、桑田氏は昨年10月に巨人の二軍監督を電撃解任された身。同12月にNPBの二軍(イースタンリーグ)に参加している「オイシックス新潟」のCBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)に就任済みで復帰は困難。しかも、阿部氏とは大きな禍根を残す。
解任の経緯が阿部氏との指導方針の対立にあったからだ。
昭和野球を貫く阿部氏に対し、桑田氏は現役引退後、早大大学院でスポーツ科学、東大大学院で動作解析を習得してきた学者肌。科学的データ・理論に裏打ちされた指導を是としている。
「たくさん走って、たくさん投げろ」の阿部氏に対し、桑田氏は「テクノロジーの進化で投手のフォームも球の回転もコマで見られる時代に練習したらうまくなる、というお守りはいらない」と対極。阿部氏が桑田氏の排除に動くのも理解できる。
これに対し、OB会の重鎮たちは「桑田が教えた東大は六大学で勝てていない。この事実がすべて」と阿部氏を擁護。球団も阿部氏を支持し、桑田氏は去った。
それが松井氏の監督辞退で手のひら返し。混乱を招くのは必至で「手打ち情報」もにわかには信じ難い。
ところが、本誌が入手した情報によれば、信ぴょう性が高い。
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巨人で阿部氏と並び立つのは困難でも...
桑田氏のオイシックス転身は「実は読売のあっせんによるもの」というからだ。
当初、巨人は球団フロントへの異動で阿部氏との確執の収拾を図ったが、桑田氏が断固拒否。次善のアイデアが新潟でのトランジットだったという。
それを物語るように桑田氏のオイシックス入団会見は読売グループと関係が深い東京ドームホテル。その後、指導した野球教室も東京・稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで開いた。
これだけでも巨人と良好な関係であることが分かる。
巨人で阿部氏と並び立つのは困難でも、桑田氏が他球団なら連携は可能だ。
ぴったりのチームがセ・パ12球団に所属せず、ライバル関係にない緩衝地と言えるオイシックスへのトランジット滞在。
さながら東京帰還便へ乗り継ぐ、時間調整だ。
「いずれ戻すという保証があればこそ、桑田氏はこれまでとは比べものにならない契約条件にもかかわらず、快くオーダーを受けた。そこに巨人のポスト阿部政権と桑田氏の野心が重なる」(冒頭の放送局幹部)
つまり、オイシックスは巨人から与えられた前衛的な実験劇場なのだ。
持論の「練習、練習、練習はうまくならない。練習して、栄養を取って睡眠、休養。寝ているときに筋肉が再生し、練習した技術を脳や神経が覚えていく」理論の正当性を証明する場であり、「誰もが認める結果を収め、監督として巨人に戻って来い」という期待感が透ける。
オイシックスで"桑田イズム"を進化、完成させるには、少なくとも2~3年かかる。この間の巨人は阿部監督続投となり、阿部氏にもメリットがある。
反目する両者が手打ちした背景は、ここにある。
順当なら桑田氏は'29年から巨人監督に就き、'32年始動の松井巨人の精鋭チルドレンを育て、ゴジラが望む"勝つための監督"への環境整備がミッションだ。
一方で、オイシックスが「桑田のトランジット」を受け入れたのは事情がある。
16球団への球団拡張への流れの中で、一緒に二軍リーグに加わった「くふうハヤテ」が存続の危機にあるからだ。
NPBは1球団(単数)のセ・パ参入は認めない方針で、オイシックスは視界が開けない状況。一部には"巨人のファーム球団に鞍替えするのでは"との情報もある。
だからこそ、桑田氏を受け入れたのだ。
それらの事情が重なり巨人は監督の順番を「阿部氏→松井氏」から「阿部氏→阿部氏→桑田氏→松井氏」に修正。
これが、巨人が描く「WIN-WIN-WIN」シナリオだが、いずれゴジラ巨人が誕生するのは間違いないだろう。
「週刊実話」1月22日号より
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