ドキュメンタリー映画で語られた喜劇王・チャップリン“反骨の源流”

もし現代に生きていたら、何を風刺したか

というわけで、今、もしチャップリンが生きていたら、どんな映画を作ったかとつい妄想してしまいます。

「独裁者」ではヒトラーのマネをして、猛烈かつストレートに皮肉っていましたよね。現代は、AIで何でもできるわけですから、AIチャップリンにトランプをおちょくらせるのはどうでしょう。あるいは、プーチンとか。いやプーチンはヤバいか…製作サイドが消されてしまいますね。

チャップリン特有のコマ送りのような滑稽な動き、モノクロームだからこそ漂う哀愁。奇しくもあの時代の技術が作り上げた稀代の役者なのでしょう。

今や何でもありの映画界では、あの可笑しみは出せない。その証拠に、1952年にアメリカを追放されてからは2本しか撮っていません。技術の進化とともに、限界を迎えていたのかもしれません。

チャップリン
監督・脚本:カルメン・チャップリン
出演:マイケル・チャップリン、ジェラルディン・チャップリン、ジョニー・デップ、トニー・ガトリフ、エミール・クストリッツァ、ストーケロ・ローゼンバーグ、リタ・カベルト、ファルキート
配給:アンプラグド
角川シネマ有楽町ほか全国順次公開中

「週刊実話」1月8・15日号より

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。