昭和のヒット曲『アゲイン』は「吉田拓郎のメロディー、アグネス・チャンの超絶高音の兼ね合いが素晴らしい」

“流行語大賞”受賞するほど話題となった「アグネス論争」

そんな「♪アゲイン アゲイン」という高音サビの強い印象によって私は、『ひなげしの花』(’72年)や『草原の輝き』、さらには彼女最大のヒット『小さな恋の物語』(ともに’73年)よりも、断然『アゲイン』推しになったのでした。

さて、先日発表された新語・流行語大賞「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」ですが、’88年の流行語部門・大衆賞を憶えている方はいるでしょうか。

そう「アグネス論争」!

当時売れっ子だったアグネス・チャンが仕事場に長男を連れてくることについて、林真理子やコラムニスト・中野翠が批判し、それに対してアグネス本人や社会学者・上野千鶴子が反論する論争が長く続き、流行語大賞を受賞するほどの大きな話題となったのです。

あれから37年も経ちました。「アグネス論争」のことを憶えている方も多くはないでしょう。

ただ今年の大賞を見る限り、女性も、いや男性も、労働環境はまだまだ窮屈だよなぁと思ってしまう――。

歴史は繰り返します。アゲインアゲインもう一度。

「週刊実話」1月1日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。