今夏の甲子園出場校が閉校へ 再来年度以降の生徒募集を停止

阪神甲子園球場 (C)週刊実話Web
大阪府代表として、今夏の甲子園大会に出場した東大阪大学柏原高校の閉校が決まった。

理由の一つは「高校授業料無償化」だという。どのような背景があるのか。

「生徒や保護者に説明があったのは、つい最近。でも、学校長や職員には9月の段階で通達されていました。つまり、夏の甲子園大会後、間を置かず閉校が決まったんです」(関係者)

同校は硬式野球部のほか陸上、バドミントン、日本拳法などさまざまな部活動で全国大会に出場を果たしている。

しかし、大阪府が独自に施行した「授業料1人63万円までは国・府が負担、それ以上は学校の自己負担」とする無償化制度により、生徒から設備維持費を徴収できなくなった。

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学校側が負担するとなると、経営が成り立ちません...

「高校無償化制度の政策は、保護者の負担を減らしました。入学金以外の授業料や、施設維持費などの支払いがなくなったのですから。ただ、スポーツ強豪校でもある私立高の側からしてみると、生徒から『施設維持費』が徴収できなくなり、それを学校側が負担するとなると、経営が成り立ちません」(地元記者)

高校無償化の施行が決まった際、懸念されていたのは「公立高離れ」。

同じ"タダ"なら大学付属の私立高の方が受験の心配もなくなるからだが、現実には私立にも影を落とす。

「東大阪大学柏原高は男子校で、近年の少子化や共学志向で、各学年の生徒数が定員の半分程度まで減るなど別の経営難の悩みも抱えていました」(同)

スポーツ系の私立高が室内練習場などの設備投資をすべく授業料の値上げを検討しても、「63万円以上は学校の自己負担」と決まっているため、学校側は自分のクビを締めることになる。

柏原高の決断はやむを得ない選択だったのだ。

「来年4月に入学してくる1年生が最後。'29年閉校となるため、柏原高が3学年そろって甲子園出場を争うのは来年が最後」(同)

第2の柏原高が出るかもしれない。

練習施設の必要のない勉強エリートの私立高は生き残るが、スポーツはダメ。

この制度を考えた政治家は甲子園大会、国体までなくしたいのか。

「週刊実話」1月1日号より