【難読漢字よもやま話】「蝗」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


「豊作の神の使い」との呼び名も

正解は「いなご」です。

【蝗の語源と漢字の由来】
「蝗(いなご)」は、バッタ目(直翅目)イナゴ科に属する昆虫の総称です。主に、水田や草地に生息し、植物の葉を食べます。

漢字の「蝗」は、「虫へん」に「皇(こう)」が組み合わさった形声文字です。「虫へん」は昆虫や小動物を指し、「皇」は「広がる」「広い」という意味合いや音を持つため、広範囲に広がり、群れをなして飛ぶ昆虫、すなわちバッタやイナゴの大群を指すようになりました。

ちなみに「いなご」の語源は、主に「稲の子(いねのこ)」が転じたという説が有力です。これは、イナゴが稲の穂が出る頃(秋)に水田に多く現れ、稲を食べることから名付けられたと考えられています。また、「稲食(いなぐ)い」が変化したという説もあります。

【バッタとの違いは? 蝗のトリビア】
●「蝗害」という言葉
蝗(いなご)」の大群が農作物を食い尽くす被害を、特に「蝗害(こうがい)」と呼びます。これは、古くから世界中で飢饉の原因となってきた歴史があります。

●バッタとの区別
イナゴは、広い意味でのバッタの仲間ですが、日本では「イナゴ」を主として水田に生息する小型の種、「バッタ」を平地に生息する大型の種(トノサマバッタなど)として使い分けることが一般的です。

●「稲子」の別表記
イナゴは、その語源とされる「稲の子」をそのまま漢字に当てて「稲子」と書かれることもあります。これは「蝗」という難読漢字を避けた表記です。

●伝統的な保存食
日本では、イナゴを佃煮(つくだに)にした「イナゴの佃煮」が、タンパク源として特に内陸部や山間部(長野県、群馬県など)の伝統的な食文化として根付いています。
ちなみに、佃煮として利用されるのは、主にコバネイナゴやハネナガイナゴといった、比較的大型で食べ応えのある種類が中心です。

●跳躍力と筋肉
イナゴの優れた跳躍力は、後脚に発達した強靭な筋肉に支えられています。自分の体長の数十倍もの距離を跳び越えることができます。

●「八百万の神」との関連
古くからイナゴは、稲作に大きな影響を与える存在として、豊作の神の使い、あるいは災厄の象徴として、信仰の対象になることがありました。

●海外での食文化
国連食糧農業機関(FAO)は、持続可能なタンパク源として昆虫食を推奨しており、イナゴやバッタの仲間は、アフリカや東南アジアでも広く食用とされています。