ファスナー全開から火炎ギターまで! 紅白歌合戦に刻まれた「放送事故寸前」の衝撃ハプニング史

原因は生放送と独特の緊張感

同じジャンルのハプニングとしては2006年、第57回に登場したDJ OZMAのパフォーマンスも語り草となっている。

「女性バックダンサーたちが洋服を着ていない状態に見えるボディースーツで踊り、視聴者から苦情が殺到。司会者が生放送中に釈明する異例の事態となり、NHKは後日公式に謝罪。DJ OZMAは紅白への出演を事実上永久失権とされた。
この事件は、公共放送の倫理観と過激演出の境界を露骨に示した紅白史上最大級の騒動として今も同局の歴史に刻まれているのです」(芸能記者)

近年では、若手アイドルグループのステージでも危ういハプニングが起きている。2017年の第68回では欅坂46のメンバー数名が転倒し、過呼吸で運ばれる事態が発生。生放送ならではの緊張感と、若年アイドルに課せられる過酷な演出の現実が浮き彫りとなった。

だが、なぜ紅白はこれほど放送事故やハプニングが多いのか? 前出の元NHK関係者が言う。

「最大の要因は生放送。これに複数ジャンルの出演者、大規模ステージと紅白はこの三つの要素が重なり合うことで、“華やかさと危うさの共存”という独特の緊張感を生んでいるのです。
そのため、番組作りの情報共有がどこかで欠落したり、出演者らのやる気を見逃してしまうと吉川晃司の火炎ギターや本木雅弘の破裂演出、DJ OZMAのボディースーツ、そして若手アイドルの転倒事件のような不祥事が起きてしまう。
また、近年はSNSの普及により、視聴者からの批判や苦情が瞬時に拡散され、番組ブランドリに即座に影響を及ぼす時代となった。これにも、制作サイドは気を配らねばならず、番組制作のハードルが上がっているのです」

現在は映像技術や制作側の安全管理の向上により、過激演出は以前ほど許されなくなったが、生放送という特性は変わらない。紅白の華やかさの裏には、今も観る者を震えさせるスリルが存在しているのである。