美術留学から帰国した娘が全身タトゥー&ピアスだらけ!「身体に施した芸術」を巡る壮絶父娘ケンカ

激怒した父は救急搬送される騒ぎに…

「聞いていて眩暈がしました。この子は頭がおかしくなっちゃったんじゃないか!? と思いましたね」

動揺を隠せない敏子さんが目線を下にずらすと、そこにも異変があった。

「首筋にチェーンネックレスのような入れ墨(以下タトゥー)があったんです。それは胸元にまで続いていました。よく見ると袖口からも茨のような絵がはみ出していましたし、足首からは葉っぱのような模様ものぞいていました」

敏子さんが恐る恐る「アンタ、もしかして身体中にタトゥーが入っているんじゃないでしょうね?」と聞くと愛奈さんは「ピンポーン♪」と無邪気に答えたという。

「その後家に戻り、愛奈の全身を確認したところ首から下の半分以上が灰色に染まった感じでタトゥーが入っていました。どれも洋風な感じ(※個人の特定を避けるため細かい描写は割愛)のデザインでしたし、おへそには大きな指輪がついていました。股間のはさすがに見ていませんが、ショーツの股の部分がデコボコと盛り上がっており、カラカラという音も聞こえました。私の知っている娘の身体じゃありませんでした」

敏子さんはあまりの衝撃にその場にへたり込んでしまったそうだが、愛奈さんは「ママには理解できないかも知れないけど、これは自分の身体に施した芸術なの」と胸を張ったという。

「留学中の写真を見ても、同じような見た目の人ばかりでした。私は芸術のことは分かりませんが、そういうコミュニティの中で娘が影響を受けたことは理解できました」

敏子さん以上にショックを受けたのは、愛奈さんの父親(58歳)だ。

「夫は『そんな身体じゃ嫁に行けないどころかまともに働くこともできないぞ!』と激怒しました。そのまま親子で大喧嘩になり、興奮して血圧が上がり過ぎた夫が救急搬送される騒ぎになりました」

両親すら受け入れてもらえなかった愛奈さんは、結局「日本は暮らしにくい」と言い残し、1カ月もたたないうちにフランスに戻ってしまったという。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。