
コロナ禍で在宅時間が長くなり、いかに快適かつ楽しく過ごせるかが大きなテーマとなっている。
そんな中、利便性と健康志向を満たす家電製品の売り上げが絶好調だという。
日本電機工業会(JEMA)の統計によると、2020年度の「白物家電」の国内出荷額は、前年度比で6.5%増の2兆6141億円に伸びている。この出荷額は1996年度以来、24年ぶりの高水準だという。
家電の中で具体的に何が売れ、何が埋没したのか。そして、今後はどんな家電が売れ筋となるのか、個々の家電に触れる前に、まずは家電業界全体の状況を分析してみたい。
一言でいえば業界全体は右肩上がり。それは大手家電量販店の21年3月期(20年4月~21年3月)決算でも明らかで、生活必需品を扱う小売業として力強さを見せつける内容となった。
まず、国内トップ『ヤマダホールディングス』(群馬県高崎市)の純利益は、前年度比110.5%増の518億円。『ケーズホールディングス』(茨城県水戸市)は同79.9%増の387億円、『エディオン』(大阪市北区)は51.5%増の166億円で、ケーズは過去最高を記録している。
家電メーカー関係者が背景を分析する。
「新型コロナウイルスの影響で外国人観光客の需要は減少したものの、政府から国民1人あたり10万円の特別定額給付金が支給され、家電の買い替えを後押ししました。子どもまで含めると一家で30~40万円になるケースが続出し、さらに巣ごもりで外食費や旅行費が節約された。そのため、多くの一般家庭が冷蔵庫や洗濯機など、大型の白物家電を購入したようです」
統計史上初めて1000万台を突破したエアコン
その言葉を裏付けるように前述のJEMAによれば、20年度はエアコンが前年度比3.5%伸びて8182億円、台数ベースでは1009万台強と、統計史上初めて1000万台を突破した。
同様に冷蔵庫は3.1%増の4525億円、洗濯機も8.4%増の3995億円と跳ね上がっている。
しかし、巣ごもりバブルは白物家電だけではない。実はテレビやレコーダーなど「黒物家電」も売れているという。
電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、20年度は薄型テレビの国内出荷台数が、前年度比18.1%増の572万台と急増した。特に50型以上の大型テレビは38%増と伸びている。
また、テレワークの浸透とオンライン授業に加え、デジタル端末1人1台の政府方針で、ノートパソコンも大いに売れた。20年度は前年度比56.1%増で1077万台も売れたという。
「ほかに伸び率が高いものは、空気清浄機をはじめ加湿器、除湿器など健康関連家電です。コロナ禍でのエアロゾル感染、飛沫感染に配慮して購入したようです」(家電量販店関係者)
JEMA統計によると、空気清浄機の国内出荷額は前年度から倍増して過去最高の1094億円、台数も358万台と過去最高を記録した。加湿器は前年度比34%(100億円)、除湿機も同16%(214億円)と、いずれも売り上げ好調だ。同様に体温計、血圧計も伸長が目覚ましい。
国内大手の調査会社「富士経済」によると、健康関連家電は世界的に伸びており、20年度は体温計の世界販売台数が前年度比71.9%増、血圧計が同18.9%増を記録したという。
すでに売り上げ減を想定した動きが…
一方、コロナ禍で売り上げが低迷した家電もある。
JEMA統計を見ると、電気シェーバーの国内出荷額は434億円で前年度比13.1%減、アイロンは同7.6%減、ヘアドライヤーも同13.1%減と、はっきり落ち込んでいる。
「企業のテレワークが浸透して外出が減ったことにより、一部の理美容関連家電が売り上げを落としています。アイロンの売り上げ減少は、アパレル業界でノーアイロン製品が増えたことも大きい」(前出・家電メーカー関係者)
さて、今後の家電業界はどうなるか。
現在は家電の売り上げが好調なことから、他のジャンルからの参入も相次ぐ。例えば、家具販売の『ニトリ』(北海道札幌市)は昨年から一部店舗でエアコンを発売しており、『良品計画』(東京都豊島区)も携帯型ファンや空気清浄機などの販売を始めた。昨年度は『イオン』(千葉県千葉市)も家電の売り上げが前年度比3割増となり、さらに力を入れるという。
「大型の白物家電、黒物家電は一度買えば、当分買い替えない製品です。そのため、大手家電量販店は好調に浮かれず、すでに売り上げ減を想定して動いている。全体的な売り上げが頭打ちとなり、新規参入を含め販売業者が乱立すれば、個々の販売店は来年以降、さらに厳しいサバイバルを強いられそうです」(経営コンサルタント)
かくして家電業界は、メーカーも含め〝冬の季節〟到来という見方が大勢を占めている。
しかし、予測不可能な出来事が起こるのも世の常だ。ロボット掃除機のように、想定を超えるヒット商品が出る可能性もあり、そう簡単に先は読めない。
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