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ブラックマヨネーズ『ブラマヨ談話室』祝!8年目突入インタビュー

ブラックマヨネーズ
ブラックマヨネーズ (C)週刊実話Web

――『ブラマヨ弾話室』(BSフジ)は社会問題がテーマの番組ですが、出演依頼があったときはどう感じましたか?

吉田敬「この番組のプロデューサーが『ブラマヨと政治って組み合わせはおもろいと思うねん』って声をかけてくれて『あ、そうなんかなあ』って。俺ら的には最初はそういう感覚はなかったんですけど」

小杉竜一「いざ番組が始まると、いろいろなことに興味も出てきて、世の中について思うことが出てきたり、ゲストの先生たち(文化人ズ)の話を聞いていて楽しいと思えるようになりましたね」

吉田「『こんなにもバランスよくできるかね俺らも』って自分でも驚くぐらい、居心地がいい…」

小杉「自画自賛になってますけど(笑)」

――同じように時事問題を扱っている生放送の『バイキングMORE』(フジテレビ系)の火曜日にもレギュラー出演されていますが、相乗効果みたいなことはありますか?

吉田「『弾話室』は僕らが司会なので、当然しゃべりやすいです。『バイキング』では、僕らの思う流れじゃないときに、その流れに飲み込まれたら恥ずかしいなと思ってコメントしてます」

小杉「『弾話室』をやっていなかったら『バイキング』で言っているコメントも全然違ってたと思います。僕は『バイキング』でコメントが空を切りがちなんですが(笑)、その中でも自分なりにちゃんと言えたなっていうのは『弾話室』があったからやと思います。ちょっと真面目な思いプラス、自分のエッセンスも入れるみたいなことは、ここでの収録の成果もあるかなと」

――難しいテーマもあると思いますが、打ち合わせはどの程度されるんですか?

吉田「事前にはまったくなくて、全部スタジオに来てからです。たいがい、話をしたいと思っていることがテーマになっている。素っ頓狂なテーマになったことはないです」

小杉「興味はあるけど分からんことを文化人ズの先生に教えてもらう。僕らの知識を出すというより、純粋に自分らが思うことが見ている人と共感できたらいいなと思ってます」

――専門家の先生たち「文化人ズ」、それから若手芸人たち「心配ズ」がそれぞれ3~4名ずつ各回に出演されていますが、皆さんと事前に話さないんですね。

吉田「楽屋は一緒ですけど、できるだけテーマの話はしないです。挨拶とかボートレースの話とか(笑)」

――番組説明のナレーションでも「雑談」が強調されていますけど、気にかけてらっしゃるわけですね。

小杉「先にしゃべってしまうと止まらへんようになってしまうし、本番の展開も感じ方も違うだろうから、楽屋も派遣のバイトの待機室みたいな感じ(笑)」

話し込んでいるから出る空気

――心配ズは後輩芸人の方が多いですか?

吉田「ほぼ、そうですね」

小杉「ほんまに、リアルに生活に困ってるメンバーが来てますから。文化人ズに政治家の方が来てくれたときなんて、なかなか普段は出ないような質問も飛び交っていると思いますね。文部科学大臣になられた萩生田(光一)さんも来てくださいましたし」

吉田「内閣官房長官になる前の加藤(勝信)さんが来てくださったときに『怪獣・すーなか』という後輩の芸人が『育児手当がもっとないと困る!』と直々に訴えたんです。そしたら、自分でも何とかせなあかんって正式に怒られてました(笑)。そこで僕がその後輩に『お前は日本のシロアリか』と。みんな笑っていましたね(笑)。そういう展開は、ほかの番組ではなかなかないんじゃないかなと思います」

小杉「ほんの何分かのコーナーでは、なかなかそこまではいかない。1時間以上、話し込んでいるから出る空気ですね」

吉田「真面目な話もしますけど、そればっかりでは見ていられないと思うんです。笑いがあるからずっと楽しく見られる、そういう番組になっている自負はめちゃくちゃありますね」

――笑いとのバランスは常に意識されていますか?

吉田「そうですね。それはどんな番組でも、たとえば『バイキング』でも思っていて、ちょっと笑いの方向に行ったら、『今そんなにも笑いいらんかったか…』というときもあります(笑)。さすがに災害の話題のときにはいらんと思いますけど、ここはもう少し笑いにいってもええやんというストレスはあったりします」

小杉「はっはっは!」

吉田「『弾話室』はだいぶバランスよくできているし、政治家さんのいいところもむしろ出ていると思います」

――政治家の方にどの程度言っていいのか、線引きされていますか?

吉田「失礼にさえならなければいいかなと思っています。蓮舫さんが来てくださったときに『何でそんなに反対ばかりしているんですか?』と聞いたんです。反対ばかりしているんじゃなくて、『マスコミが使うのはそこばかりだから』と答えてくださって、ああそういう見方があるのかって」

小杉「聞かないと分からへんかったな、確かに」

吉田「法案が何個あって、そのうち何個認めていますという話をしていただいたり。与党の人には『この問題はもっとこうできへんのですか?』と言ったら、実際にこう動いていますという答えをいただいたり。真面目な部分もありながら『シロアリ』って言ったりしているわけです。今、勉強系ユーチューバーとか人気ありますけど、それの先駆けでしたね。それでいて笑えるところもあるんやから、相当な番組ですね(笑)」

小杉「何かしゃべると後半、自画自賛になってる(笑)」

オンエアは全部見てます

――間を生かした自然な会話をしているように感じます。カット覚悟で言うようなことはないのでしょうか?

吉田「それは時間も無駄ですから。もちろん多少、強いツッコミは言いますけど、それは制作側に判断してもらう感じで、絶対無理、放送できないって分かるような言葉は誰も使わないです」

――芸人さんによっては、その場の笑いが欲しくて言ってしまうこともあるんじゃないですか?

小杉「それは俺が一番やってしまってるかも(笑)。変なことを勢いあまって」

吉田「いや、ないと思うよ」

――オンエアはチェックされていますか?

吉田「全部見てます。酒飲みながら真面目一辺倒も見たくないし、何の意味もないようなもんも見たくない。何かためになりながら笑いたいというときに、録画したやつを見ます」

――文化人ズのレギュラーメンバー、イラン人タレントで外国人タレント事務所の山田プロの社長でもあるデビッド・ホセインさんは、どういった存在ですか?

吉田「収録中は、流れがちゃうねんとか、よく入ってくるなとか、うるさいなとか思うときがあるけど、オンエアを見たら面白いから、多分それを分かってますね」

小杉「プロやな(笑)。ほんまにいい人、懐がでかいです。パイロット版から休まず出てるのは彼だけです」

――なくてはならない存在。

小杉「力強く『ウン』とはなかなか言えない(笑)」

吉田「彩りですかね。シューマイのグリーンピースみたいな。別にグリーンピースの味が欲しくてシューマイ食べることはないと思うんですけど、『ああ、ここ緑色なんだ』みたいな、インパクトにはなっているんじゃないですか」

小杉「みんなデビッドのことでめちゃくちゃ笑ってるし。覚えてませんけど(笑)」

吉田「あおり運転がテーマのときかな。『すぐイライラするのはよくない』とか言い出したから、あおり運転のやつが降りてきて、近付いてきたらどうするのって聞いたら『ドツキ倒す』って(笑)。人間味あふれてる」

小杉「スタジオにいるメンバーの中で一番強い。イランの元レスリングチャンピオンですから。なのに年下の僕が勢い余って『ええ加減にせえよ』って言っても笑ってくれてるし」

番組発の言葉を政治家が採用?

――今までで印象的だったゲストを教えてください。

小杉「今日の収録にも来てたPOISON GIRL BAND・吉田(大吾)が『月曜日は憂鬱だ』という話をしたときがあって、『月曜日』の言い方をしんどい気持ちを軽減するような形に変えたほうがええんちゃうかという流れになったんです。『だるだるマンデー』にしたら月曜日も笑いながら行けるんじゃないかって、笑ってたんですよ。そうしたらそのあと国会で『だるだるマンデー』ではなかったけど『シャイニングマンデー』が提案されていて、俺らの意見通ったんちゃうのって(笑)。その回の政治家のゲストからいったんじゃないかと。実は政治家の方がけっこう見ているらしい」

吉田「僕も政治家さんは、かなり見ているって聞いてます」

小杉「この番組はいっぱいしゃべれるという評判がたってる。あのあとからは、POISON・吉田の発言は立候補しそうなヤツみたいになってます(笑)。ビンビン感じます」

吉田「僕は和歌山大学の経済学の足立(基浩)先生が印象に残っています。この番組に出るまではまったく知らなかったんですけど、文化人ズ側でしゃべってくれて、話もまとまっていて物知りやし、話しやすくて面白い人やなと思っていたら、関西の番組にちょこちょこ出だして。この番組から出世していった(笑)。そういう意味でうれしいですね。だから文化人の登竜門でもあると思います」

――政治家で会ってみたらイメージと違ったということはありましたか?

小杉「もともと知っている人も知らない人も、全員印象は変わりますね。こんなによくしゃべってくれるんや、という人もいれば終始なに言ってるか分からんかったという人もいたし」

吉田「当たり障りのないことしか言わない『何なんこの人?』という人もいるし」

小杉「しゃべってはくれるんですけど、内容が深くいかないなみたいな」

吉田「お茶濁してるなとか」

小杉「人柄が出ますね」

――2014年1月のスペシャルから始まって、その後4月からレギュラーとなってもう8年目という長寿番組ですが、実感はありますか?

小杉「自分らが出ている番組の中でもトップクラスに長い番組ですから、いい感じで進化しているというか、深くなっていると思います」

吉田「ありがたいですね」

小杉「1回来たら濃厚にしゃべりますけど、収録が2カ月に1回なので長いことやったという感じでもないんです。でも日曜夜の時間帯を考えると、横並びの番組がなくなったり、いろいろ変化している中で、よく続いてるなとは思います」

吉田「あまり長寿番組って感じられないんですよ、心配ズの若手芸人が特別売れていくということもなく…」

小杉「8年ずっと同じメンバーが来てるからな(笑)」

吉田「ずっと同じ立場で、ずっとおるから」

小杉「時の流れを感じないんです。『あんときのおまえが今ではな~』みたいなのがない! 時が止まってるんです」

吉田「そう! みんなおもろいんですけどね」

小杉「はっはっは!」

(文:三浦昭彦/企画:丸山剛史)

ブラックマヨネーズ(吉田敬・小杉竜一)
1998年にコンビ結成。2005年に第5回M-1グランプリ優勝、11年に第46回上方漫才大賞を受賞した。『バイキングMORE』(フジテレビ系/火曜MC)、『人間観察バラエティ モニタリング』(TBS系)などレギュラー番組多数。『ブラマヨ弾話室~ニッポン、どうかしてるぜ!~』(BSフジ)は14年4月にスタートし、現在も好評を博している。

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