【難読漢字よもやま話】「蟠る」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


不信感から不仲に…
正解は「わだかまる」です。

【蟠るの語源と漢字の由来】
「蟠る(わだかまる)」の「蟠」という漢字は、もともと「蛇や竜などがとぐろを巻く」様子を表しています。とぐろはぐるぐる巻いて動かない、つまり「滞る」状態です。

このため、物事がスムーズに進まず、ねじれたり、停滞したりする状態を意味するようになりました。これが感情の表現に使われるようになると、心の中で解消されずに、もつれて留まってしまう状態、つまり「わだかまり」となって心に残ることを指すようになったのです。

「わだかまる」の「わだ」は「環(わ)」や「輪」に通じ、物が丸く渦巻いている様子を表しているとも言われています。身体を丸めて動かない動物の姿が、心の中で解決せずに留まる感情と重ねられ、この言葉が使われるようになりました。

【蟠るに関するトリビア】
●「わだかまり」は心の氷
「わだかまり」という名詞は、不満や不信感が心の中に固まって溶けない状態を指すため、感情が凍りついた氷のような状態に例えられることがあります。これが解けることを「氷解する」と言います。

●水の流れが語源の一つ
「わだかまり」の「わだ」は、川や池などで水が渦を巻いたり、流れが滞って水たまりになったりする地形や場所を指す古語に由来しているという説があり、停滞の意味を含んでいます。

●現代心理学での重要性
心の「わだかまり」は、人間関係における未解決の課題や抑圧された感情として、心理学やカウンセリングの現場でも重要なテーマとして扱われます。解消することが精神的な安定につながります。
また、「わだかまり」を解くことは、自己開示や対話を通じて、感情の結び目を緩める行為です。時間をかけて相手の気持ちを理解しようとするプロセスが不可欠です。

●「蟠る」と「こじれる」の違い
「蟠る」は感情が心の中に留まり続ける静的な状態を指すのに対し、「こじれる」は事態や関係が悪化していく動的な変化を指します。似ていますが、ニュアンスは異なります。

●人間関係の節目で使われる
和解や別れといった人間関係の節目で、「わだかまりなく話す」や「わだかまりを残したまま別れる」など、関係の清算を表す重要な言葉として用いられます。