【難読漢字よもやま話】「坩堝」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


坩堝は超高温

正解は「るつぼ」です。

【坩堝の語源と漢字の由来】
「坩堝(るつぼ)」は、化学実験や冶金(やきん)の分野で、金属やガラスなどを高温で熱して溶融・精製するために用いられる耐熱性の容器のことです。

「坩(かん)」は、もともと土でできた容器を意味し、「つちへん(土)」が用いられています。「堝(か)」もまた、土でできた釜や鍋、特に物を煮るための容器を意味します。この二つの漢字が組み合わさることで、「高温に耐える土製の容器」という、器具本来の意味を表すようになりました。

和語の「るつぼ」という読みは、ドイツ語の "Tiegel"(ティーゲル、坩堝の意味)がオランダ語を経由して伝来し、「るつぼ」という音に転訛したという説が有力です。

【興味津々! 坩堝のトリビア】
●化学・冶金の必需品
坩堝(るつぼ)は金や鉄などの金属を溶かしたり、新しい合金を作ったりする際に、数百度から数千度の高温に耐えなければならない、精錬技術の核となる器具です。

●「熱狂のるつぼ」という比喩
現代では、「熱狂の坩堝」「欲望の坩堝」のように、激しい感情や多様な要素が混じり合って、混沌とした状態にある場所を比喩的に指す用法が一般的です。
また、さまざまな民族、文化、言語が混在している場所を、「人種の坩堝」(英語ではMelting Pot=メルティング・ポット)」と比喩することがあります。

●「溶け合う」がキーワード
比喩としての「坩堝」は、単に「混ざる」だけでなく、激しい摩擦や対立を経て、新しいものが生まれるというダイナミックな変化のニュアンスを含みます。

●歴史的な精錬技術
古代から中世にかけて、金や銀の精錬、特に不純物を取り除くプロセスにおいて、坩堝の技術は錬金術や文明の発展に不可欠なものでした。

●多様な素材
坩堝の素材には、粘土、黒鉛、アルミナ、白金など、使用目的の耐熱温度によってさまざまなものが使われます。特に高純度な精錬には白金製が使われます。