【難読漢字よもやま話】「綯交ぜ」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


いつの間にか収納棚が綯交ぜに…
正解は「ないまぜ」です。

【綯交ぜの語源と漢字の由来】
「綯交ぜ(ないまぜ)」は、異なる種類のものが混ざり合って区別がつかない状態を意味します。この言葉は、動詞「綯う(なう)」と「交ぜる(まぜる)」が組み合わさった和製漢語です。

「綯う」の「綯」は、「いとへん(糸)」が示す通り、何本かの糸や繊維をねじり合わせて縄や紐を作ることを指します。この動作が、複数の要素を一つにするというイメージの核になっています。

「交ぜ」は「混ぜる」と同じく、種類や性質の異なるものを一つにすることです。つまり、「綯交ぜ」は、「縄をなうように複雑に複数のものを混ぜ合わせる」という動作から、その結果生じた混沌とした混合状態を表すようになりました。

【混沌の極み! 綯交ぜのトリビア】
●語源は「縄作り」の動作から
「綯交ぜ」は単に混ぜるだけでなく、「綯う(なう)」というねじり合わせる動作を含みます。このため、二つ以上の要素が複雑に絡み合っているニュアンスが強い言葉です。

●対義語は「区別」
「綯交ぜ」が混ざり合っている状態を表すため、その対極にある言葉は「峻別(しゅんべつ)」や「区別」など、厳密に分類・分離することを意味する言葉です。

●「混然一体」との違い
「混然一体」は、バラバラだったものが溶け合って調和しているポジティブなニュアンスがあるのに対し、「綯交ぜ」は区別がつきにくいという混沌や曖昧さに重点が置かれます。

●心理学的にも使われる言葉
感情や記憶が整理されず、喜びと悲しみ、過去と現在などが複雑に絡み合っている心理状態を表現する際にも「綯交ぜ」が用いられることがあります。

●現代社会では多様性を表すキーワード
グローバル化が進む現代社会において、さまざまな民族、言語、習慣が入り乱れる文化の多様性――「文化の綯交ぜ」が社会の複雑さを示すキーワードの一つとなっています。