【難読漢字よもやま話】「褞袍」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


冬の必需品
正解は「どてら」です。

【褞袍の語源と漢字の由来】
「褞袍(どてら)」は、綿入れの長着(ながぎ)のことで、特に冬の防寒や寝間着として使われる、袖の太い厚手の和服を指します。

漢字の「褞袍」は、音読みで「うんぽう」または「おんほう」と読み、元の意味は「厚い衣服」や「禅僧の着る厚手の衣服」を指しました。

「褞(うん/おん)」は衣服に関わる字、「袍(ほう)」は長着や上着を意味する漢字です。 この漢字に、和語の「どてら」という読みが当てられたのは、一般的に江戸時代の「土手羅(どてら)」という言葉が変化したためと考えられています。

これは、土手のように厚く綿が入っていることに由来するか、または江戸の土手沿いで売られていた安価な防寒着だったという説があります。

【究極のぬくもり! 褞袍のトリビア】
●「丹前」との違い
「褞袍(どてら)」とよく混同される「丹前(たんぜん)」は、もともと江戸の湯屋(銭湯)で着る着物から発生したもので、形は似ていますが襟の仕立てなどに違いが見られます。ただし、現代では区別が曖昧です。

●冬の季語
どてらは、俳句や短歌において、冬の暖かさや家の中の生活を象徴する言葉として冬の季語に分類されています。日本の冬の風物詩的な存在です。

●「どてら」の語源の謎
最も有力な語源は「土手のように厚い」説ですが、一説には江戸時代に流行した「どてらい者」のように、「ずば抜けている」という意味から来たという異説もあります。

●地域ごとの呼び名の違い
日本国内でも地域によって呼び名が異なり、東北地方などでは単に「綿入れ」や「袢纏(はんてん)」の一種として区別せず呼ばれることが多く、「どてら」は標準語的な位置づけです。

●綿入れの保温効果
どてらの暖かさの秘訣は、中に入っている綿の空気層にあります。この空気層が体温で温められ、優れた断熱効果を発揮することで、高い保温性を実現しています。

●「どてら」の現代的な復権
近年、サステナブルな和の生活が見直される中で、エコな暖房器具として電気を使わない褞袍や綿入れ袢纏の需要が再燃しています。