吉永小百合には「青森行 急行十和田に乗れ」の脅迫状と100万円を要求!「草加次郎」とは何者だったのか

「青森行急行十和田に乗ること」と指示が…

草加次郎事件最大のヤマは、9月5日に起きた地下鉄銀座線爆破事件である。午後8時過ぎ、京橋駅で停車中の電車車内で時限爆弾が爆発、乗客10人が重軽傷を負った。

鑑識が調べたところ、爆発に使われた乾電池にマジックインキではっきりと「郎」の文字が確認され、もう一つの電池から「次」と読み取れる文字が見つかり、その筆跡と爆弾の構造から草加次郎の犯行と断定された。

その後、草加次郎の名で再び地下鉄の爆破予告があったため、警視庁は地下鉄全線に警察官を配備し大掛かりな警戒網を敷いた。また複数のデパートにも爆弾を仕掛けたとの脅迫
状が届いたことから、警視庁は捜査本部を立ち上げ、捜査員120人を投入して異例の大捜査を行った。

銀座線爆破事件の翌日の9月6日、女優の吉永小百合宅に草加次郎名義の脅迫状が届いた。通報を受けた捜査員が未整理のファンレターの山を掻き分けて調べてみると、草加次郎の脅迫状が5月から6通届いており、消印はすべて下谷局、筆跡は同一人物のもので草加次郎の筆跡と一致した。

9月6日の脅迫状は7通目にあたり、要求はこう書かれていた。

『9月9日午後7時、上野発青森行急行十和田に乗ること 進行方行に向って左のデッキに乗り外を見ること 後の車両に乗ること 青(緑)の懐中電燈の点滅する所に現金100万円投下すること 8時まで完予 草加次郎』(原文ママ)

色めき立った捜査本部は300人に及ぶ捜査員を沿線に手配し、指定された車両に6人の敏腕刑事を乗り込ませた。しかし犯人は現れなかった。車窓から必死に目を凝らしても懐中電灯の光はどこにも見えず、指定された時刻を過ぎると捜査員たちは完全に肩透かしに終わったことを知った。

吉永以外にも鰐淵晴子や桑野みゆきの自宅住所に、100万円を要求する弾丸入りの脅迫状が届いていたことが判明している。

草加次郎の犯行は、この事件を最後にピタリと止んだ。同一の消印、指紋や筆跡など豊富な物的証拠がありながら、それ以外の手掛かりは全くなく、捜査本部は1年で解散した。

昭和53年9月5日、事件から15年が経過し、草加次郎事件の時効は成立した。この間、投入された捜査員は延べ1万9000人、捜査線上に浮かんだ6500人の容疑者はすべてシロ――、こうして草加次郎は迷宮の中に姿を消した。

週刊実話増刊『未解決怪事件の謎』より一部抜粋