【難読漢字よもやま話】「小春日和」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「こはるびより」

【漢字の由来と語源】
「小春日和(こはるびより)」は、晩秋から初冬にかけて現れる春のように暖かく穏やかな晴天を指す言葉です。

もともと「小春」とは、旧暦の10月(現在のグレゴリオ暦では概ね11月頃)の時期そのものを指す言葉でした。

この時期は本格的な冬の寒さが来る前に、一時的に春のように暖かく穏やかな日が続くことがあります。そのため、その季節を「小さな春」という意味で「小春」と呼ぶようになりました。つまり「春のような気候の季節」という意味合いで使われたのです。

また、「日和(びより)」は「良い天気」を意味する言葉で、洗濯日和、行楽日和など何かに適した良い天気を表しています。

【小春日和に関する豆知識】
●季語としての役割
俳句の世界では、秋の季語として分類され、芭蕉の句など多くの作品で登場します。例えば、穏やかな秋の風景を象徴します。

●気象学的背景
高気圧の影響で晴天が続き、気温が上がる現象。晩秋に夏のような暖かさが戻るため、「逆戻り」の天気として知られます。そのため、冬眠に入ったはずのハチやチョウなどの虫が一時的に動き出すことがあります。
小春日和は猫も大好き

●農作業への影響
昔は、この時期の暖かさを利用して冬野菜の収穫や保存食作り、あるいは最後の野良仕事を行うなど、農家にとって貴重な期間でした。

●英語の類似表現
英語では「Indian summer」(インディアンサマー)と呼ばれ、北米やヨーロッパで似たような晩秋の暖かい日を指しますが、起源は異なります。

●旧暦との関係
旧暦の10月は「神無月」ですが、「小春」とも呼ばれ、収穫の季節を象徴。現代のカレンダーでは11月上旬から中旬頃に該当します。

●地域差が大きい
温暖な地域(例: 関西や九州)では頻繁に起こりやすいですが、寒冷地(例: 北海道)では稀で、気候変動の影響を受けやすい現象です。