21種の材料を使用した「もつ煮込み」が絶品 大山『立ち飲みわいわい』

オープンは2016年。今年で9周年を迎えた。焼き鳥、唐揚げ、中華をはじめ居酒屋メニューが一通りそろう。
板橋の大山に昼からやっている飲み屋があると聞いて足を伸ばした。日差しを背にのれんをくぐると、私の他に客はいないようだ。
もつ煮込み21(460円)。小腸、大腸、ガツ、ボンジリなど21種の材料を使っているからこの名前に。マスターいわく「もうすぐ23になるよ」とのこと。
「どうせ誰も来ないからどこでも座って」とマスターらしき男性が笑う。
好きな飲み物に突き出しが付いた500円のお得セット(注文は1人1回まで)。500円の生ビールも選べる。
立ち飲みと書いてあるが座席も用意されていた。隣にケージがあり、中にハトがいる。「店の前で弱ってたから保護したんだ」。最近買ったという本を見せながら、「鳥ってしゃべるんだよ」と教えてくれる。

ホール担当の女性がタイミングよく合いの手を入れるから、話が止まらない。

しばらくすると、ギターの弾き語りが始まった。これがまた聴かせる。
突如として歌い出すマスター。
濃い酒をあおりながら手拍子をしていると、いい具合に酔いが回ってくる。
板橋の名物、焼酎牛乳割り(450円)。スイスイ飲めるから危険。
腹がいっぱいになり帰ろうとすると、もっと飲んでいきなよと引き止められる。笑って会計をして店を後にすると「また来てね」と大きな声がした。
鉄板で焼いた生地の上にかつお節やソースをかけた、たこ焼き風お好み焼き(680円)。腹も満たされ、つまみにもなる万能な一皿。
毎日、休まず店を開けているというから、マスターはきっと寂しがり屋なのだろう。ほろ酔い気分で次の店を目指す。

だが、どこも開いていない。時計は午後2時を指していた。
『立ち飲みわいわい』
東京都板橋区大山町3-3
営業時間:12時~24時
休み:無休

撮影・文/キンマサタカ

週刊実話2025年5月29日号より
※情報は取材当時のものです

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