「中絶より簡単!」10代女子の避妊1位は「アフターピル」? 蔓延する“短絡的な後始末 ”の代償

独自調査でも「アフピル」が避妊の1位に

アフターピルを買い置きしたり、サプリメントや常備薬のように携帯している若者もいるようで、この蔓延ぶりにA医師は「リスクしかない」と警鐘を鳴らす。

「まず性感染症です。コンドームと違って、アフターピルでは感染を防ぐことはできません。実際、若い世代の性感染症は増えていますし、複数の感染症を併発している例も珍しくありません。繁華街ではアフターピルを売買する人たちもいますが、高額で売りつけたり、正規品ではなく偽薬や劣悪品が取引されることもあります。アフターピルの存在が性交渉へのハードルを下げている印象も否めません」

ちなみに筆者がSNSを介して18歳~22歳の女子50人に「避妊手段」について聞いたところ、「アフターピル」と回答した人が21人ともっとも多く、「コンドーム」と回答した17人を上回っていた。その次が「膣外射精」(8人)「安全日」(4人)という結果だった。

安価かつ容易に入手できて、性感染症も防げるコンドームよりもリスクの多いアフターピルを選択した理由としては「ゴムを持ち歩くのは恥ずかしいけど、アフピルだと気にならない」「彼氏がゴムを付けずにやりたがるから」「コンドームはつけるタイミングが難しくて面倒くさい」などの回答が寄せられた。

一部のドラッグストアでは店頭販売が認められているようだが、アフターピルを重宝する背景には、目の前のリスクとは向き合わず「後で何とかすれば良い」という、短絡的な考えが潜んでいるような気がしてならない。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。