サンマは豊漁、サケとカツオは不漁 “秋の味覚魚”が明暗分かれ全国の漁港が大パニック

サンマ(C)週刊実話Web

黒潮が大きく曲がる「黒潮大蛇行」の終息で、サンマやイワシ、スルメイカ、キンメダイの豊漁が続く一方、秋サケ、戻りガツオは不漁で関係者が悲鳴を上げている。

北海道産の秋サケ漁はピークを迎えているが、地球温暖化による海水温の上昇で9月に入っても秋サケが沿岸に近づかないため不漁続き。札幌市で行われた初競りでは過去10年で最高値(1キロ当たり11万1134円)を記録した。

「秋サケ漁は不漁に加えて、網に掛かったサケの頭や、エラが食い荒らされる被害が続出しているんです。犯人はアザラシ。北海道ではアザラシ、トド、オットセイによる漁業被害が深刻なんです。漁港の波消しブロックにアザラシが住み着いて、沿岸に寄って来た数少ない秋サケを食い荒らす。6割くらいが被害に遭っていますよ」(札幌市内の水産仲卸業者)

今年の北海道で獲れる秋サケは前年比35.5%減が予想され、1989年以降、最低の漁獲量になる見通し。秋サケから獲れる生筋子の卸売価格もこの20年間で5倍に跳ね上がっている。

「10月中旬で生筋子は1キロ3万円超え。イクラの価格も同様。これでは個人経営の料理店や居酒屋は手が出せませんよ」(東京・豊洲市場の水産仲卸業者)

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宮城・気仙沼では戻りガツオも不漁

同じく秋の味覚の戻りガツオ。28年連続で日本一のカツオ水揚げ量を誇る宮城県・気仙沼では漁の最盛期を迎えるが例年200トンを超える日も珍しくない水揚げは、今年は100トン以下に落ち込み日本一から陥落の危機だ。

「カツオは春先まで南の温かい海域で過ごし、夏にかけて一部の魚群が豊富な餌を求めて三陸沖に北上する。戻りガツオは、初ガツオより脂が乗っている。いつもなら3キロ近くあるんですが、今年は1キロ級で脂も乗っていない」(漁業情報センター関係者)

和歌山県でもカツオの漁獲量は最盛期の10分の1。

「豊漁のサンマも入荷されるごとに小さくなっている。旬は早めに終わるかもしれません」(前出・豊洲市場の水産仲卸業者)

秋の味覚魚は、明暗が分かれている。

「週刊実話」11月13日号より