ロンドン公演大盛況も…九州場所で力士たちを待ち受ける波乱「海外公演後遺症」

日本相撲協会公式サイトより

落とし穴にご用心。大盛況だったロンドン公演を終え、力士たちは2便に分かれて10月22日に帰国した。

5日間の延べ動員数は2万7000人。八角理事長(元横綱北勝海)は、大の里が英語で感謝の挨拶をしたフィナーレで総立ちの客席を見渡し「感無量だ」と手応えをにじませていたという。

羽田空港に姿を見せた大の里も「充実した5日間だった。たくさんの応援を頂いたので、力に変えられるようにがんばりたい」と、いまだ興奮が収まらない表情だったが、これでお祭り騒ぎもお仕舞い。

35歳のベテラン高安は「さあ、現実に戻ってきたぞ。(九州場所まで)もう3週間しかないから、ギアを上げていかないと」とさっそく気持ちを切り替えていたが、力士たちには海外公演後遺症が待ち受けている。

「ロンドン公演の前後を含めると、力士たちは2週間あまり稽古らしい稽古をしていない。こんなことは異例ですよ。しかも、片道14時間余りという不慣れな飛行機での長旅を経験し、体調的にも非常に不安定。すっかり日常性を失った心身を、九州場所までにどう元に戻すか。力士たちはとても繊細な課題と向き合うことになります」(相撲記者)

【関連】朝乃山がロンドン公演を尻目に“倍返し”の猛稽古 再入幕をかけた九州場所は嵐の予感 ほか

初公演では有力力士が休場、負け越し

34年前、初めてロンドン公演が行われた直後の九州場所でも、力士たちは海外公演後遺症に苦しんだ。旭富士、北勝海の両横綱は、旭富士が初日から、北勝海は8日目から休場した。

人気急上昇中の若貴こと若花田、貴花田(ロンドン公演には不参加)は7勝8敗と負け越し、曙は8勝7敗と勝ち越すのがやっと、という有様で、横綱不在の混戦レースを制して優勝したのは、たびたび出身地のハワイに帰国し、飛行機による長旅はお手の物の大関小錦だった。

「あの頃は毎場所、優勝力士が変わる戦国時代。3日目には三役以上に勝ちっ放しがいなくなる大混戦となり、小錦が抜け出して逃げ切った。若い力が目立つ今場所もどこか似ている。連覇を目指す大の里、横綱初優勝に虎視眈々の豊昇龍も油断大敵ですよ」(同)

九州場所は11月9日から始まる。

「週刊実話」11月13日号より