【禁断】SEX、暴力、前衛アート! 新世代アンダーグラウンド映画が帰ってきた!【深淵ホラー劇場:ハリウッドが封印した『G級の神々』】#2

やっぱZINE(個人誌)はやめられないぜ! マシューとケンディの課外活動

映画以外の活動として二人は謎の個人誌を多数発行している。これ売れるのかと思ってしまうがアンダーグラウンド・コミュニティの地盤は強いらしい。

マシューとケンディは今日も奇妙な個人誌を作り続けるのだ。現在、マシューは2つの個人誌を発行している。

1つは『Catsploitation(キャッツプロイテーション)』で、猫が出てくるホラーやB級映画を特集して、その手の映画を楽しむ猫の飼い主さんを紹介している。

もう1つは『Cinema Schism(シネマ・スキズム)』で、毎号アンダーグラウンドの伝説的な映画監督とその作品を紹介している。

これまでにリチャード・カーン(第1号)やニック・ゼッド(第3号)を取り上げた。第7号(リチャード・ベイラー監督特集)をちょうど発行したばかりだ。

マシューによると個人誌は、SNSの投稿以外で映画を称え、新しい読者層に紹介する楽しい方法とのこと。

一方、ケンディはマシューを上回るハイスクール時代からの個人誌フリーク。ここはケンディの言葉を借りよう。

ケンディ:『The Stay At Home Girlfriend(お家にいるガールフレンド)』。いわゆる「パージン」、つまり個人的な個人誌ですね。日々の出来事、特に私の猫たちのことを書いているの!もうすぐ41号を発行します。
もう一つは『Today(今日)』。私は墓地を訪れ、それについて書くのが好きなので、その経験をまとめた個人誌です。
『Discarded(捨てられた)』という個人誌も2号発行しました。路上に捨てられたおもちゃの写真を掲載している。高校生の時に個人誌を見つけて以来、90年代後半からずっと関わっているの。

マシューとケンディが発行するZINE

カリフォルニア・アンダーグラウンド今後の快進撃! 

マシューとケンディは現在撮影中のフォークホラーの短編映画に集中している。それは『Blank Cinema』というタイトルになるようだ。

Blankという言葉は、ニューヨークのアンダーグラウンド映画ムーブメントを描いたドキュメンタリー映画『Blank City(空白の町)』(注2)から取った。だから、完全に僕が作ったわけじゃない! でも、そもそも完全にオリジナルなものなんてないよね」マシューはそう語る。

現在制作中のフォークホラー映画が完成したら、『Spirits of Transgression(背徳の精霊たち)』という作品集としてフォークホラーをまとめて発表する予定との事。フォークホラーというジャンルにアンダーグラウンドな雰囲気を加えたものにしたいそうだ。

新作を撮影中
そして2026年に向けて映画のアイデアがまだまだたくさんあるというケンディは最後にこう語った。

「映画は創造性の一部で、創造性はどんなにスランプに陥っても最終目的地にはたどり着くんです。とにかく、できる限り創作を続けたいの」

彼女の言葉はアンダーグラウンド映画の未来が希望に満ちていることを我々に伝えてくれる!

(注2)2010年のアメリカ映画、日本未公開。監督はセリーヌ・ダンヒアー。ブロンディのデボラ・ハリーを始め映画監督ジョン・ウォーターズ、ベスB、ジム・ジャームッシュといった錚々たる面々を通して1970年代後半のアンダーグラウンドシーンに迫るドキュメンタリー。

『濡れた食材』YouTube本編
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インタビュー・文/沙さ綺ゆがみ