親の介護は「費用の捻出法」、「施設選びの優先順位」「早めの話し合い」でこんなに悠々自適に

『マンガで解決 老人ホームは親不孝?』主婦の友社/1,600円(本体価格)

『マンガで解決 老人ホームは親不孝?』著者:上大岡トメ(かみおおおか・とめ)
イラストレーター。東京生まれ、横浜(上大岡周辺)育ち。1級建築士、ヨガインストラクターでもある。世の中の難しいことを、分かりやすくマンガとイラストで描くことがお仕事。「日々をきげんよく過ごすこと」が、人生において大事だと思っている。

親の介護は75歳は一つの区切り

――どのタイミングで親の介護施設を検討したらいいのでしょうか?

上大岡「ひとくちに『いつから始めるべきか』とは言えません。親と子供の状況によって違うからです。例えば、親が将来を現実的に考えている場合なら、タイミングは早ければ早いほどよいでしょう。逆に、親の生活に『老い』が見えてきたときも大切な節目になります。75歳は一つの区切りとされる年齢で、今後の暮らし方や過ごし方を話し合うよい機会。私自身のケースでは、遠距離介護になるため、施設への入居は必至だと考えていたため、介護が始まってから施設見学をスタートしました」

――介護施設はどのように探せばいいのでしょうか?

上大岡「施設選びで大切なのは優先順位を決めることです。まず予算をはっきりさせ、介護費用は親の資金で賄うことを前提にします。次に、安否確認・身体介護・医療・認知症など、何を重視するかを整理すると施設の種類が絞られます。そして入居時期や立地も重要です。私の場合は両親がパーキンソン病だったため、24時間看護師常駐の介護付き有料老人ホームを選び、父が時々帰れるよう車で実家に行ける場所にしました」

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施設に入れることは「親不孝」でなく「親孝行」

――親の説得もかなり大変だと聞きます。

上大岡「私の場合、母は元気な頃から現実的に施設見学をしていたので入居に肯定的でした。一方で父はなかなか受け入れてくれませんでしたね。パーキンソン病で体が不自由になり認知症の症状も出ていたため、母と一緒に安心して過ごし趣味を楽しんでほしいと説得しました」

――これから親の施設を考えている人にアドバイスをお願いします。

上大岡「『親孝行』とは、親が晩年を快適に過ごせる場所を整えることだと思います。親を施設に入れることは決して親不孝ではなく、むしろ何の準備も知識もなく行き当たりばったりで、質の低い施設や費用に納得できない施設に入居させてしまうことこそが親不孝です。在宅介護を選ぶにしても、施設入居という選択肢を用意しておけば安心です。
たとえ使わなくても、準備があるだけで気持ちはずっと楽になるでしょう。親の介護は、自分の将来を考える予習でもあります。元気なうちに、自分がどう過ごしたいか、晩年をどう迎えたいかを考えるきっかけになります。私自身、親の介護を経験してから所有物の整理を始め、やりたいことは先延ばしにせず取り組むようになりました」

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」11月6日号より