ラーメン店“大淘汰時代”一服で業界は多店舗チェーン&新規参入組の抗争が熾烈化

ラーメン

「日本の国民食」といわれるラーメン市場に“潮目”が訪れるのか。

インバウンドを取り込み需要が拡大していたラーメン業界はここ数年、原材料費や人件費の高騰を受けて青息吐息。加えて「ラーメン1杯=1000円の壁」という目に見えない消費者の固定観念が障害となり、採算が合わない小規模個人店が淘汰され、2024年のラーメン店の倒産件数は72件と過去最多を記録した。

だが、帝国データバンクによると、今年1月~9月に発生した「ラーメン店」の倒産件数は46件と、前年同期間の60件から2割以上も減少。通年でも4年ぶりに前年を下回る見通しだという。

個人店の閉業などを含めると、実際はより多くのラーメン店が市場から撤退したとみられるものの、倒産が急増した一時の「大淘汰時代」からは一服傾向がうかがえる。

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市場は10年前の1.6倍に拡大

また、最近はラーメン1杯1000円以上でも、多くの消費者にとって抵抗感が徐々に薄れつつあり、価格転嫁による値上げにも一定の理解が広がっているようだ。

ちなみに市場全体に目を向けると、2024年度のラーメン店市場は事業者売上高ベースで、7900億円(見込値)に達し、10年前の1.6倍となるなど市場拡大が続いている。

これを背景に、スケールメリットを生かした原価管理と効率化されたオペレーションで安定した利益を確保する多店舗展開の資本系ラーメンチェーンや、これをチャンスと捉えた他業態からの参入組も増加。今後、ラーメン店の競争環境はより激しさが増すとみられている。

数多の逆境を乗り越えてきたラーメン業界。その再興につながるかは今後に注目だ。

「週刊実話」11月6日号より一部内容を変更