たっぷり入った日本酒と豊洲の鮮魚でカンパ~イ 板橋区役所前『仲宿酒蔵』

カウンター前の冷蔵ケースには仕入れたばかりの魚がズラリ。
すし屋で修業した店主が独立し、居酒屋を開いたのが54年前のこと。この町にしっかりと根を下ろした今は、「和食の料理人だった」という2代目と共に厨房に立つ。
刺し身の表面をあぶる2代目。
開店当初は串焼きなども出していたというが、修業先から2代目が店に戻ったのを機に、魚に注力するようになった。2代目も毎日、豊洲に仕入れに行くという。
刺し身にできる鮮度のマグロとネギを焼いた、ねぎまぐろ串(300円)は脂が良い具合に落ちて食べやすい。
常連が必ず頼む「お一人様刺し身盛り」がテーブルに届いた瞬間、年がいもなく歓声を上げてしまった。
居酒屋というより、にぎやかな小料理屋と言ってもいいくらい、出てくる料理に品がある。お一人様刺し身盛り(1000円)はついついお酒が進んでしまう。
写真を見れば分かるがこれで一人前。酒を頼んでまたびっくり。グラスからこぼれた酒を受ける升の下に、さらに升があり、それぞれが満杯になるまで気持ちよく注いでくれるのだ。
2段重ねの升になみなみと注がれた日本酒は、どこから口を付ければいいか迷う。うれしい悩みだ。「裏雅山流」800円
口開けの客はカウンターの右端に座った。次にやってきた客は左端。そうしてポツポツとカウンターから埋まっていく様子を見ていると、どうやら常連にはお気に入りの席があるようだ。

そして迷わず刺し身盛りを頼み、今日はどの酒を飲もうかと迷っている。そうやってメニューを眺めている時間は幸せなことだろう。
秩父名物のしゃくし菜漬け(400円)は酒のアテや箸休めに。
それを見ている私も幸せな気持ちになり、ついつい酒が進むのであった。
『仲宿酒蔵』
東京都板橋区仲宿62-1-104
03-3964-5132
営業時間:15時30分~22時30分
休み:第2・4土曜、日曜、祝日

撮影・文/キンマサタカ

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週刊実話2025年5月8・15日号より
※情報は取材当時のものです