【難読漢字よもやま話】「拗れる」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「こじれる」

【漢字の由来と語源】
「こじれる」という言葉は、もともと日本語に存在した「こじる」という動詞から派生したものです。「無理にひねって開ける」「(棒などで)無理に隙間を広げる」「強引にねじ曲げる」「物事をわざと難しくする」「面倒な状態にする」などの意味があり、これが「〜れる」という受身・自発の形になって「こじれる」という言葉が生まれたと言われています。

また「拗」という漢字は、「扌」と「幼」の二つの部品から成り立っています。前者は手の動作に関わることを意味し、後者は「幼い」「小さい」「弱い」といった意味を持ちます。

この二つが組み合わさることで、「手を使って、幼いものや柔らかいものをひねる」「曲がった状態にする」といった意味合いを持つようになり、この漢字が「ねじれる」「曲がる」「ひねくれる」を意味する「こじれる」という言葉に当てられるようになったようです。

長い結婚生活では夫婦仲がこじれることも…

【こじれるに関するトリビア】
●病状の悪化によく使われる
風邪などの軽症が長引いたり、別の重い病気(例:肺炎や気管支炎)に移行したりする際に「風邪をこじらせる」「病状がこじれる」と表現します。初期の症状が治りきらずに悪化する過程を指します。

●意味の広がりと抽象化
もともとは物理的な状態を指していましたが、時代とともに人間関係、病状、交渉事など、目に見えない抽象的な問題が悪化したり複雑になったりする状況全般を指すようになりました。

●「こじらせ女子&男子」の流行
2010年代には「こじらせ女子」「こじらせ男子」という言葉が流行しました。これは、自意識過剰やひねくれた考え方によって恋愛や人間関係がうまくいかないタイプの人を指し、「物事を素直に受け止められず、複雑に考える」という「こじれる」の心理的側面を捉えた現代的用法です。

●マンガやドラマでも注目のシーン
恋愛ドラマなどでは「関係がこじれる」展開がよく使われます。また、マンガの『ONE PIECE』などでも、仲間間の誤解が原因で「こじれる」シーンが登場することが少なくありません。というのも、こじれることは“転機”となることが多いからです。例えば実社会ではビートルズのメンバー間のこじれがソロ活動を生み、後の音楽史を変えました。ネガティブな言葉ですが、時にポジティブな話題を生むトリガーとなることも多いのです。