【難読漢字よもやま話】「鮟鱇」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「あんこう」

【漢字の由来と語源】
「鮟鱇(あんこう)」と呼ばれるようになったのには、いくつかの説があります。その中でも有力なのが次の二つです。

「安居(あんこ)」説:海底にじっとしている様子から、「安らかに居る」という意味の「安居(あんこ)」が転じたという説。

「暗愚(あんぐ)」説:見た目が醜く、動きも鈍重なことから、「暗愚(あんぐ)」という言葉が当てられたという説。

また、漢字は中国から伝わったものと考えられています。「鮟」の字は魚偏に「安」と書きますが、「安」は、字源的には女性がひざまずいて座る姿を表し、安定、安らかという意味があります。鮟鱇が海底でじっとしている様子を表していると考えられます。

一方、「鱇」の字は魚偏に「康」と書きますが、この字はすこやか、ゆったりとした様子を表します。鮟鱇のゆったりとした泳ぎ方や、ふっくらとした体つきを表したのかもしれません。
冬のあんこう鍋は絶品!

【鮟鱇に関するトリビア】
●提灯は自家発電!
鮟鱇の頭にある提灯は、発光バクテリアを共生させて光らせています。つまり、自身で発電しているわけではないんです。

●オスはメスに寄生する
一部の種類の鮟鱇のオスは、メスを見つけると噛み付いてそのまま一体化します。この種は最終的にオスがメスの栄養源となり、生殖機能だけを残して生涯を終えます。

●深海魚なのに美味!
グロテスクな見た目とは裏腹に、高級食材として知られています。冬の鮟鱇鍋は絶品ですが、特にみそ仕立てのスープにあん肝を溶いたどぶ汁は、答えられないおいしさです。

●捨てるところがない
鮟鱇は、骨以外はほとんど食べられると言われています。特に、あん肝は「海のフォアグラ」と呼ばれるほど濃厚な味わいです。

●大きな口には秘密が…
鮟鱇の口は非常に大きく、自分の体の何倍もある獲物も飲み込むことができます。また擬態の名人で、海底に潜む鮟鱇は岩や海藻にそっくりな姿で獲物を待ち伏せます。

●泳ぎは意外と苦手
深海で生活している鮟鱇は、あまり活発に泳ぎ回りません。主に海底でじっとしていることが多い魚です。

●種類が豊富!
鮟鱇は世界中に約300種類も存在します。それぞれ、生息場所や体の特徴、捕食方法などが異なります。