女性1000人と関係を持った40代元ヤン父親の“箱入り娘”育成記「躾は親の責任として必要」

「反抗期なんかにビビってちゃダメなんです」

時代錯誤とも言える子育てに娘さんたちは反発することもあったというが、大輝さんは一歩も譲らなかった。

「僕は自分が悪い仲間とつるんでいたから、どうやって子どもが道を誤るか分かってるんです。言うことをきかないからと言って、親が子どもを自由にさせてしまうと子どもはどんどん堕落して行きます。
虐待は論外だけど、躾は親の責任としてやっぱり必要なんですよ。あと教育を受けていない子どもは生き方が限られてしまうし、将来に希望が持てなくなるから荒れやすいです。子育ての基本は親が『諦めないこと』と『ポリシーを持つこと』だと思うんです。
親は子どもにとって人生で最初の敵にならないといけない。そのためには反抗期なんかにビビってちゃダメなんですよ。我が家の家訓は『よそはよそ、うちはうち』です。周りに流されない強い意思を持てるように育てて来ました」

そう子育て論を展開する大輝さんだが、実際娘さんたちは3人ともに大輝さんの望むように成長している。

「長女は今大学3年生で、臨床心理士になる勉強をしています。今は病んでる人が多いから寄りそう人間が必要だと思ったそうです。
今年地元の成人式に出ましたが、長女が一番清楚で綺麗でした。同級生には赤ん坊を抱いている子とかキャバやってる子が何人かいましたけど、ああならなくて良かったと思っています。
次女は大学2年ですが、栄養士の勉強をしています。食事は人間形成に重要だという考えで、食育について研究しているみたいです。
三女は高校3年の受験生ですが、姉妹の中では一番おとなしくて家庭的なせいか『良妻賢母を目指す!』と言って、保育や介護を学ぶ大学への進学を希望しています。
思春期の頃は衝突もしましたが、今は親子関係も良好ですし、家族全員が仲良しですよ」

鈴木家では「成人(18歳)になるまで男女交際禁止」というルールがあるそうだが、いまだに誰も浮いた話がないという。

「長女と次女はとっくに解禁になっていますけど、男の影はないですねえ。男子と交流する機会があっても、グループ交際の域は出てないようです。
男女間のドロドロしたニュースが多いせいか、男女交際には慎重みたいです。三女ももうすぐ18歳になりますけど、『結婚を考える年齢になるまで彼氏は作らない』と言っています。いやあ、ちょっと箱入りに育て過ぎましたかね」

苦笑いしてみせる大輝さんには、誇らしさが見てとれる。そのためか、取材の最後には「昔泣かせた女性たちへの贖罪の意味でも、嫁と娘たちは絶対に幸せにします」と、力強く宣言したほどだった。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。