【難読漢字よもやま話】「忽然」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「こつぜん」

【漢字の由来と語源】
「忽然(こつぜん)」は中国語で「hū rán」(フーラン)と発音される中国由来の熟語で、日本では平安時代以降の文献に使われるようになりました。

「忽」は「瞬時の」「急な」というニュアンスを、「然」は「そのように」という状態を示す接尾語的な役割を果たし、「忽ち(たちまち)そのようになる」という意味合いでこの漢字が使われたとみられています。

【こつぜんに関する豆知識】
●意味の強調
単に「突然」という意味だけでなく、「予期せず、気配もなく、あたかも跡形もなく現れたり消えたりする」という、より劇的で意外性の高い状況を表現する際に使われます。

●文学作品での頻出
夏目漱石の『吾輩は猫である』や芥川龍之介の『羅生門』など、明治・大正期の文豪たちが情景描写や人物の出現・消失を表現する際に好んで使用しました。

●類語とのニュアンスの違い
「突然」「不意に」「急に」といった類語がありますが、「こつぜん」は特に、何の前触れもなく、どこからともなく現れたり、跡形もなく消え去ったりするような、神秘的・超自然的なニュアンスを含みがちです。

●UFOや怪奇現象描写の常套句
UFOの目撃談や都市伝説、幽霊など、常識では説明しにくい現象や、驚くべき奇跡的な出来事を語る際に「こつぜんと現れた(消えた)」という表現がよく用いられます。
こつぜんと消えた?