豊富な品書きで酒が飲める本格中華×居酒屋 曳舟『鳩五五酒場』

無数の品書きが張ってある店内。
ユニークな店名の理由は「オープンした年に村上宗隆が55本(最終的には56本)ホームランを打ったから」と言うから、ヤクルトファンかと尋ねると「違う」と笑う。

『鳩五五酒場』はオープンしてまだ2年だが、下町らしいとぼけた味わいの店主のおかげか、あっという間に人気店になった。

店名の本当の由来は、近くにある鳩の街通り商店街から。鳩の四五(ヨコ=横)と名付けるつもりだったが、死後と読まれそうなので五五になった。

20年近く中華の修行を重ねた店主は本格料理人である。さらに「酒が好きだから」と居酒屋らしいメニューも豊富にそろえる。

カリカリに揚げられた鳥レバフライに、炒めたニラをオン。これはビール(650円、アサヒの大瓶)と合わせたい。
客は私一人であったが、テレビが大きな音量で流れている。確かに中華はにぎやかに食べる方が似合っている。
2時間40分煮た牛すじ豆腐(450円)
駅から10分ほど歩いた住宅街にあるから、勝手知ったる客しか入ってこない。

「ここらは家賃が安いから、楽にやらせてもらってます」と笑うが、それは腕に覚えがあるから言えることだ。
ごろっとした食感を出すため特注のひき肉を包んだ粗びき肉シュウマイ (400円)
料理はどれもスパイスが適度に効いていて万人受けする味わいだ。
揚げ鶏黒酢ラー油(500円)は酒が進む。
ひと皿が安いからどんどん頼んで酒で流し込む。ワンオペなので、提供はのんびり。
オイスターソースと中華しょうゆで味付けしたもやしだけ焼きそば(450円)。太麺で食べ応えあり。
店主が厨房で鍋を振るっている間、後から来た客は壁に張られた品書きを見ながら酒を飲んでいた。

なるほどこの店のメニューはつまみにもなるのだ。
『鳩五五酒場』
東京都墨田区向島5-43-10
営業時間:17時~23時
休み:日・月

週刊実話2025年4月24日号より
※情報は取材当時のものです

撮影・文/キンマサタカ

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