スキマバイトに「適応できない」と嘆く50代男性“致命的な不器用さ”で失敗連発

たった40分で帰されたことも

「どこに行っても『給料ドロボー』って言われます(苦笑)。
スキマバイトは、作業が早く終わっても契約分の給料が払われるんですけど、『アンタがいると余計に忙しくなる』って言われて、40分で帰されたこともあります。
その時は3時間契約だったので2時間20分は不労所得でした(笑)」

五体満足の健康体でIQも普通。人の話はちゃんと聞くし、物覚えが悪いわけでもないのに、なぜか人と同じように作業が出来ない佐藤さん。

「致命的な不器用さなんでしょうね。包丁を持てば必ず指を切るし、ヒゲを剃れば必ず剃り残しがあり、洗濯物もキレイに畳めません。
靴紐が結べないのでスニーカーも履けません。ついでに言うと箸をちゃんと持てないので、食事をする時は必ずスポーンとフォークを使います」

箸の持ち方については会社勤めを始めた時に周囲に指摘され、子どもが使うような補助付きの「しつけ箸」でさんざん練習したそうだが無理だったという。

「不器用なのは物心ついた時からなんですよ。食事でも着替えでも人の3倍くらい時間がかかるから、見るに見かねた母親が全部やってくれちゃってたんです。
だから余計に自分で何もできない大人になりました(苦笑)。こんな私でも何かできる仕事ありますかね?」

…ごめんなさい。こっちが知りたいです。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。