『冬ソナ』監督の最新作『夏の終わりのクラシック』は秋にピッタリのハートウォームシネマ

『猟奇的な彼女』の大人バージョン

誰だって、人生に疲れるときはあります。“もうどうでもいい”と自暴自棄になったり、会社に行くのも億劫だったり、自分のペースを保つのがどれだけ難しいのか、苦しんでいる人の気持ちはすごく理解できる。

でも、この1本は優しく背中を押してくれ、映し出される風景にも癒やされます。

小さな道が連なって、みんながみんなを知ってる。そして、とても感動したのは窓の使い方。カーテンが少しだけ開いていたりする母の家の窓が、ときにジュヌの心の窓のように感じました。

また、携帯でテキストを打つときに、その窓が携帯画面の役割になったりするのも粋な演出です。

24年前に『猟奇的な彼女』という韓国映画が日本で大ヒットしましたが、そこまで激しくない“大人バージョン”の作品。何かを忘れるために敢えて明るくする人と、“どうでもいい”と思ってしまう人。この2人はまさにソレだけど、たとえ嫌なことがあっても、生きていかないといけない。

こうしたハートウォーミングな作品を見て、肌で季節を感じるのって、とても素敵なことだと思いますよ。

『夏の終わりのクラシック』
監督・脚本:ユン・ソクホ
出演:キム・ジヨン、ペ・スビン
提供:KDDI
配給:日活/KDDI 
10月3日(金)シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

「週刊実話」10月16日号より

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。