【難読漢字よもやま話】「鎧」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「よろい」

【漢字の由来と語源】
鎧(よろい)は、武士が戦場で身を守るために着用した武具であり、その語源には諸説ありますが、有力なのは「よろふ(よろぶ)」という動詞に由来するという説です。「よろふ」は「身にまとう」「身を包む」という意味を持ち、それが名詞化したものが「よろい」になったと考えられています。

また「鎧」の部首である「金」は、金属製の武具であることを示しており、「豈(ガイ)は音を表すとともに、堅い殻で身を覆う様子を表していると言われています。

【よろいに関する豆知識】
●鎧は高価だった
騎士文化のあった中世ヨーロッパでは、鎧一式は現代の高級車に匹敵するほど高価でした。そのため、鎧を所有できたのは貴族や富裕な騎士に限られていました。また、日本の戦国時代でも鎧は高価だったため、貧しい雑兵は先祖代々の鎧を身に着けたり、戦場で亡くなった兵士から盗んだものを着用したりしていました。

●西洋の鎧は意外と動ける!
鎧は非常に重く、動きにくいと思われがちですが、実際には熟練した騎士は鎧を着用して走ったり、跳んだり、馬に乗ったり、アクロバティックな動きさえ可能でした。全身の重量が均等に分散されるよう設計されており、総重量も現代の兵士が背負う装備と大差ないこともありました(例:歩兵用の全身鎧で約20~30キロ)。

一方、日本の武士の甲冑の重さは種類や時代によって異なり、大鎧は20キロ以上、胴丸や腹巻は胴だけで5~10キロ程度、当世具足は10~15キロが一般的でした。そのため、戦国時代のフル装備の甲冑は50キロを超えるものもありました。

●トイレ事情は大変!
鎧を着たまま用を足すのは至難の業でした。特に西洋の全身を覆うプレートアーマーの場合、鎧の一部を外す必要がありました。戦場では命取りになりかねないため、簡易的な排泄口が付いた下着を着用したり、部分的に開閉できる構造になっていたりすることもありましたが、基本的には一度脱ぐのが普通でした。
戦国時代、鎧は高価で手に入れるのも大変だった