【難読漢字よもやま話】「杜撰」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「ずさん」

【漢字の由来と語源】
「杜撰(ずさん)」の語源は、中国の唐の時代の詩人、杜黙(ともく)という人物に由来します。杜黙は詩の才能はあったものの、規則や形式を無視していい加減で粗雑な詩を作ることが多かったとされています。そのため、人々は彼の詩を「杜撰(杜黙の撰)」と呼んで嘲笑しました。

これが転じて、「杜撰」は「いい加減で、粗雑なこと」という意味を持つようになったのです。

また、漢字の「杜」の字はそのまま「杜黙」の姓を表し、「撰」は「えらぶ」「つくる」という意味を持ちます。ここでは「杜黙が作った(詩)」という意味になります。

ちなみに、「杜」を「ず」、「撰」を「さん」と読むのは、中国から伝わった漢字の古い時代の読み方が定着したもののようです。

【杜撰に関する豆知識】
●杜黙は本当にダメ詩人だったのか?
語源となった杜黙は、実際にはそこまでひどい詩人ではなかったという説もあります。後世の批評家によってやや過小評価され、結果的に彼の名が「いい加減」の代名詞となってしまったのは、気の毒な話かもしれません。

●江戸時代にはすでに定着していた
江戸時代の辞書や文献にも「杜撰」の記述が見られ、この言葉がかなり古くから日本の言葉として定着し、使われていたことが分かります。昔も今も「いい加減なこと」は存在したのですね。

●「杜撰」は中国でも使われる言葉
「杜撰」は中国語においても使われ、意味もほぼ同じです。ただし、現代中国語ではやや古風または堅い表現と見なされることもあります。
杜撰なマイホーム計画にはご用心!