【難読漢字よもやま話】「悉く」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「ことごとく」

【漢字の由来と語源】
「全部」「残らず」という意味を持つ「悉く(ことごとく)」の語源は諸説ありますが、動詞「尽く(つく)」の形容詞化した「尽しい(つくしい)」だと考えられています。

「尽く」は「つきる」「なくなる」という意味で、「尽しい」は「つきている」「全部である」という意味合いになります。これが変化して「悉く」になったとされています。

また、「悉」という漢字が使われた理由は、この字が「釆(ヘン)」と「心(こころ)」でできており、前者が獣の足跡の形を表し、後者が心を表しているためと推測されます。「細かく獣の足跡を調べて、その心を尽くす」という意味を持ち、そこから「詳しく調べる」「ことごとく」といった意味に発展したとされているのです。

【悉くに関する豆知識】
●「全て」よりも徹底的なニュアンスが強い!
「悉く」は「全て」と同じような意味で使われますが、「悉く」の方が「一つ残らず」「完全に」といった徹底した網羅性を強調するニュアンスがあります。

●ネガティブな文脈で使われることが多い!
「悉く」はポジティブな文脈でも使用可能ですが、「悉く失敗した」「悉く崩壊した」「悉く裏切られた」のように、残念な結果や否定的な事柄に対して使われることが非常に多いです。完璧な破滅や失敗を表すのにぴったりな言葉と言えるでしょう。

●古来より使われてきた言葉!
「悉く」は日本の古典文学にも頻繁に登場する、歴史のある言葉です。例えば、『万葉集』や『源氏物語』などにも記された用例が見られます。つまり、日本の古典文学でも登場人物の心情や状況を強調するために使われてきた言葉なのです。
ことごとく失敗!