【難読漢字よもやま話】「恙無い」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「つつがない」

【漢字の由来と語源】
「恙無い」の語源は、元々「恙(つつが)」という言葉にあります。「恙」は、中国から伝わった言葉で、草むらに潜む虫(ツツガムシ)による病、またはその病気が原因で起こる熱病のことを指していました。

平安時代ごろから、手紙の挨拶状などで相手の健康を気遣う言葉として「恙」という言葉が使われるようになりました。相手に「恙(病気)はありませんか?」と尋ねる意味合いです。

その後、「恙」がない状態、つまり「恙無い」という言葉が「病気や災いがなく、無事である」という意味で使われるようになりました。

そのため、漢字もこの「恙」の字が長く使われてきたようです。

【恙無いにまつわるトリビア】
●実はツツガムシとはダニのこと!
「つつがない」の「つつ」は、もともとツツガムシというダニの一種を指す言葉でした。近年、ダニの恐ろしさが再注目されていますが、ツツガムシに刺されると発熱などの症状が出るため、無事でいることを祈る意味で「つつがない」が使われるようになったのです。

●平安時代の古典文学にも登場
『源氏物語』などの平安時代の古典文学にも「つつが」の用例が見られます。例えば「つつがなし」という形で使われ、当時から「病気や災いがない」という意味で認識されていたことが分かります。

●現代では「問題なく」の意味合いが強い
本来は健康状態を気遣う言葉でしたが、現代では広く「問題なく」「支障なく」という意味合いで使われることが多くなっています。

ちなみに、ビジネスメールなどで「つつがなく完了いたしました」のように使うと、業務が滞りなく完了したことを報告する、丁寧な表現になります。
夫婦も“つつがない”のが一番!