「国民を苦しめる議員に比べれば許容範囲」税金で愛人を囲う40代市長の悪事が暴かれない深いワケ

愛人は囲うが市民に寄り添う政治理念の持ち主

――市長はバレていないと思ってる?
「『怪しまれてるかも?』くらいの認識はあると思いますよ。普通、こういったスキャンダルが公になれば横領とか背任でリコール騒ぎになると思うんですけど、そのへんの危機感はあまり感じられません」

――それはなぜでしょう?
「市民の多くが市長にお世話になっているからだと思います。市長の実家は旧家で、元は小作人を大勢抱える庄屋だったそうです。
先祖代々の付き合いだという他に、就職や起業の際に市長の実家に口添えをしてもらったとかで、頭が上がらない人が多いんです。
市議のほとんどが市長の縁者ですし、パワハラ・セクハラで悪名が高かった前市長を失脚させたのも今の市長ですから、市民は感謝こそすれ、市長にたてつつこうという気持ちはあまりないんじゃないですかね」

――自分たちの血税を女につぎ込んでもおとがめなし?
「それで市の財政が悪くなるとか、市民の暮らしに影響があれば話は違って来ると思いますが、今のところ平穏ですし、市長は市民の意見にもよく耳を傾けてるんですよ。
最近問題になっている外国人の移住受け入れについても反対の姿勢を見せていますし、それなりに市民の生活に寄り添っているので、仮に愛人の存在とか公費の使い込みが公になったところでたいした騒ぎにはならない気がしますね。
だって世の中にはもっと悪どいことをやっている政治家とかいっぱいいるじゃないですか? 裏金とか特定の団体との癒着とか。国家レベルで国民を苦しめている議員なんかに比べれば全然許容範囲ですよ」

…そういうものなのだろうか。

ちなみに市長夫人が夫の女遊びを黙認している条件として「家計には手をつけない」というものがあるそうなので、A氏としては「やむなし」といったところなのかもしれない。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。