【難読漢字よもやま話】「忽ち」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「たちまち」

【漢字の由来と語源】
「忽ち」は「すぐに」「あっという間に」「たちどころに」といった、時間的に非常に短いことを表す副詞です。この言葉の語源は「立ち」+「間(ま)」、つまり何かが立ってから間もない、という意味から変化したという説が有力です。

また、「忽」に使われた「勿(ぶつ)」の字は、もともと「旗」がひらめく様子や、物がかすかに、あるいは一瞬揺れ動く様子を表しており、これが「急に」「突然に」という意味合いに通じ、「忽」の字が当てられるようになったとみられています。

【たちまちに関するトリビア】
●文学作品にも頻繁に登場
「たちまち」は、古典文学作品によく登場します。『源氏物語』や『枕草子』など、平安時代の物語にも頻繁に使われており、当時の人々も現代と同じように「すぐに」という感覚を大切にしていたことが伺えます。

また、夏目漱石の『吾輩は猫である』や森鴎外の『舞姫』など、数々の古典・近代文学作品に登場します。古くから、日本の作家たちはこの言葉で時間の流れや情景の移ろいを鮮やかに描いてきました。

●実は地域によってニュアンスが異なる
標準語では「すぐに」という意味ですが、地域によっては少し異なるニュアンスを持つ場合があります。例えば、関西地方では「たちまち」が「とりあえず」や「一旦」といった意味合いで使われることもあります。そのため、標準語圏の人は注意が必要です。
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