もつ焼きの脂を“ボール”がさらりと流す 堀切菖蒲園『のんき』

珍しい「ニ」の字カウンター。入口は二つある。
この日は朝からあいにくの雨模様だった。16時のオープンと同時に店に入り、席に着きメニューを眺めていると、ポツポツと客が入ってくる。

雨が降っている日は客足も鈍くなるのだろうか。地元密着の店らしいといえばらしい。

テイクアウトのオーダーも入り、串で埋まる焼き台。
周囲の客にならってハイボールを注文する。ここでは「ボール」と呼ぶのが習わしだ。
焼酎ハイボール、通称「ボール」は堀切菖蒲園周辺の飲み屋の名物。氷は入らず、レモンスライスが浮かぶ。
焼酎と秘伝のエキスを炭酸で割ったもので、すっきりした飲み口でどんな料理にも合うから、10杯飲む客もいる。

こちらも調子に乗ってお代わりを頼むと、3杯目あたりでじわりと酔いが回ってきた。これは気を抜いたら返り討ちに合いそうだ。

もつ焼きの看板メニュー「シロタレ」は、豚の大腸を数時間ゆでてから炭火でじっくり焼き上げる。
名物のシロのタレ(右)と、こめかみのタレ。焼き物は一皿4本560円。2種類2本ずつでも頼める。
ホルモン特有の臭みはないし、まったくくどくない。すっきりしたタレがいい仕事をしている。
レバネギ、はつもとは塩味でいただく。
テイクアウトを頼んでいた客が取りに来る。今夜のおかずか、あるいは来客をもてなすのか。
合いびき肉を使った、つくねハンバーグ風(390円)はシンプルな味付けで肉のうまさを味わえる。
しばらくすると、どんどん客が入ってきたので、会計をして外に出る。雨はすっかり上がっていた。どうやら堀切の夜は17時から始まるらしい。
『のんき』
東京都葛飾区堀切5-20-15
03-3601-4052
営業時間:16時~21時
休み:水曜

「週刊実話」2025年4月10日号より
※情報は取材当時のものです

撮影・文/キンマサタカ

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