緊急避妊薬ついに市販化へ 承認に9年かかった「懸念と課題」

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望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬が、来年春ごろにも市販化される見通しとなった。

厚生労働省の専門部会は8月29日、医師の処方箋なしで購入できる市販薬とすることを了承した。

緊急避妊薬は「アフターピル」とも呼ばれ、女性が性交後、72時間以内に服用すれば高い確率で妊娠が防げるとされる。

世界保健機関(WHO)は医師の処方箋なしで入手できるようにすることを推奨している。

厚労省の調査によると、緊急避妊薬は約90カ国・地域で処方箋なしで購入できるため、「日本でもようやく」といったところだろう。

避妊に失敗したり、性暴力を受けたときの意図しない妊娠のとき、今のように医療機関を受診して薬を処方してもらうのは、どうしても時間がかかる。

休診の日曜や祝日には入手できない。直接医師と話をする心理的な負担も大きい。

このため市販化は、かねて女性市民団体から要望が出ていた。最初に市販化の要望があったのは、2016年ごろ。厚労省の専門部会で了承されるまで9年間もかかったのは理由がある。

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服用は薬剤師の目の前で

「性犯罪に悪用される懸念があったためです。性教育が遅れていることも市販化を見送ってきた理由の一つとされています。このため、市販化にあたっては条件があります。
対面販売に限定し、通信販売は認められません。薬剤師の目の前で服用することを義務付ける方針です。持って帰って家で服用すること、代理購入はできません」(厚生労働省担当記者)

ただ、課題はある。

薬剤師の目前で服用するのは、男性から強制的に飲まされるのを防ぐためだが、それでも薬剤師の目の前で飲むことに抵抗を感じる女性はいる。

このため市販化を求めた団体は女性の避妊薬へのアクセスを向上させるため、面前の服用に反対している。

団体関係者は「入手困難になれば、転売が起きやすくなる」とも語る。

気になる価格は、試験販売で7000~9000円だという。

高額を理由に若い女性が服用をあきらめないよう、安価にしたり、公費負担を検討したりする必要がある。

「週刊実話」10月2・9日号より