洋食をつまみに“大人のファミレス”飲み 一之江『かねだ』

オムライス(1100円)。具材はチャーシューと玉ねぎのみ。酸味の少ないケチャップを使っていて優しい味わい。これをつまみに酒を飲む常連も多い。
駅から歩くと20分はかかるから、地元民以外には陸の孤島。だが店は常に混雑している。

その多くが私と同じ中年男性だから、間違いなく近所に住んでいる常連だろう。

「生ビール、とんかつ、そして自動販売機。この辺りの人は、みんなうちの店で初めて目にしたって言いますね」そう笑うのは2代目店主だ。

2階には座敷もあり、席数はかなり多い。
60年前に『かねだ』ができた当時、道路は舗装されておらず周囲には何もなかった。だが、東京オリンピックの選手村建設が始まると労働者でにぎわった。

昔は近所に飲食店がなかったから、客が喜ぶものなら何でも出したという。

だから看板には「中華・洋食」とある。
レバニラ(900円)。町中華的なメニューを食べたい時はこれに限る。
往時を知る先代は82歳になる今も元気に店に立っている。
親子2代で店を切り盛り。82歳の先代も店に立つ。
平日夜は仕事帰りに寄る客が多い。食事をする家族連れの横で、一人客が笑顔を浮かべてグラスを傾けている。
「かねだスタイル」1000円。自家製マヨネーズを使った、「かねだスタイル」(サラダ)は大人から子供まで広く愛される一番人気。これが最高のつまみになる
人気メニューはオムライスだが、これが意外と酒が進む。となるとビールの次は焼酎だろう。
瓶ビール(中瓶)は680円。他は生ビール670円、キンミヤのボトル3300円など。
ボトルを入れてしこたま酒を飲んでもいいし、食事だけで帰ってもいい。なるほど、ここは「大人のファミレス」なのだ。
『かねだ』
東京都江戸川区西一之江3-15-14
03-3653-2756
営業時間:11時30分~21時
休み:火曜

「週刊実話」2025年4月3日号より
※情報は取材当時のものです

撮影・文/キンマサタカ

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