NetflixのWBC独占配信にNPB抵抗 それでも絶対に覆らない絶望的理由

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NetflixのWBC独占配信問題について、NPBがネトフリ側への対応を検討している。

妥協案として求められている一部配信などを勝ち取りたい構えだが、どうやら全面降伏以外ないようだ。

9月1日に開かれたNPBの理事会では、各球団の代表者から対応検討を求める声が相次いだと報じられている。

パ・リーグ理事長の楽天取締役・井上智治氏は「非常に残念」「日本のスポーツ界にとってプラスではない」「何らかの形で無料放送して、できるだけ多くの方に見てもらいたい」などと語ったが、ネトフリ側は強気の姿勢だ。

ネトフリは日本でのサービス開始から10周年を迎えた5日、渋谷で記念イベントを開催し、グレッグ・ピーターズ共同CEOも来日。前日4日にはテレビ東京の独占インタビューに応じた。

この様子は同日夜の『WBS』で放送されたが、その意志は堅いものだった。

ピーターズCEOはWBC独占配信の狙いを「日本には熱心な野球ファンがいる。(会員拡大の)絶好の機会だ」と説明。拡大を公言しているスポーツ配信事業の先駆けにし、目玉と位置付けた。

そして質問は野球ファンの懸念へ移る。キャスターは「他の配信方法も考えているのか?」と切り込んだのだが、ピーターズCEOは「会員だけに限定される」と断言。

「日本人は無料で見ることに慣れている。有料会員だけが見るスポーツは広まるのか?」との問いにも「有料のスポーツ配信は放送でも、ストリーミングサービスでも、長年業界に存在した」とキッパリだった。

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ピーターズCEOとの“交渉の余地なし”の現実

VTR後のスタジオでは、初月無料などの特別措置を作らないのかという質問に「現状では考えていない」と答えたことも明かされた。

「NPBは一部でも地上波放映権を勝ち取れないか模索しているが、ネットフリックス側は相手にしないでしょう。大体、日本側も危機感や反応が鈍い。
これまで大会のホスト局をテレビ朝日とともに務めたTBSも、4日の説明会で『事実関係の詳細を確認中』とのスピード感を露わにしています」(スポーツ紙記者)

それでも関係者の間には、一縷の望みに託す声もある。そもそも交渉というものは、初めに大きく条件を上げて、有利な条件を勝ち取るのが古今東西の定番だ。

ネトフリ側の態度も、妥協案で好条件を飲ませるための強硬姿勢だと思いたいが…。

「そんなブラフではないでしょう。ピーターズ氏の妻は日本人で、日本語が話せる上に日本文化に理解があります。
ましてや配信・放送事業のCEOですから、“日本のスポーツは集団で視聴・応援する”という風習も認識している。
それでもここまで頑なだと、条件闘争を引き出せるとも思えません」(経済誌編集)

すでにサッカーや格闘技、モータースポーツなどは有料配信やサブスクリプションへ移行しているケースも多い。

国民的スポーツも、経済の流れには抗えないのかもしれない。