特定外来生物「キョン」大繁殖 自治体が捕獲報奨金制度も効果ナシ

AIで生成したイメージ
「ギャー」と悲鳴のような不気味な声で鳴くシカ科の特定外来生物「キョン」が千葉県で大量繁殖。農作物への被害が問題になっているが、キョンは利根川を越えて隣接する茨城県、さらには伊豆大島(東京都)にも出没している。

キョンは日本のシカより小型で中国南部や台湾に生息する野生動物。もともと日本には生息していなかったが、千葉県勝浦市内にあったレジャー施設『行川アイランド』で飼われていたキョンが逃げ出し、1960~80年代に房総半島で野生化したといわれる。

「千葉県内のキョンの推定生息数は、2006年度は約1万2600頭だったが、’23年度は約8万6000頭。キョンは繁殖力が高いから増え続けて茨城県にまで出没しています。
’23年度の千葉県内の農作物被害額は約890万円。自治体はキョンを捕獲した猟師に1頭当たり数千円の報奨金を支払ったんですが、捕殺に使用する『くくり罠』は1個1万円と割に合わない。
県も対策に頭を抱えていますよ」(キョン対策に悩む鴨川市の元市議)【関連】セミ乱獲被害が都内公園で多発! 外国人グループ間で“高級食材”として流通か ほか

伊豆大島では人口の倍以上繁殖

千葉県で大繁殖するキョンは、茨城県内でも確認され、昨年5月から報奨金制度が導入されている。

また、人口約7000人の伊豆大島にも、キョンが生息。こちらは都立大島公園内にある動物園の柵が壊れ、逃げ出したキョンが繁殖したとみられ、その数は今や島の人口の倍以上とも。

「草食のキョンは大島の稀少な植物のサクユリやコクランを食べてしまう。東京都によると、8種の植物が絶滅危機に瀕しているそうです。
’23年度に過去最多となる6610頭のキョンを捕獲しましたが、市街地のキョンには銃器が使えない。千葉・茨城県同様、伊豆大島でも対策に苦慮しています」(害獣ライター)

国の対策が急務だ。

「週刊実話」9月18日号より