1杯200円で日本酒をテイスティング 西蒲田『裏旭屋』

あくまで試飲スペースなのでつまみの販売は無いが、そのため清潔で入りやすい。
酒場と呼ぶか悩ましい。だが「酒が飲める場所」という意味では間違いなく酒場だ。

こちらは蒲田で86年続く老舗酒店『旭屋』が店内に設けた試飲スペースで、『裏旭屋』の名が付いている。

中に入るとパソコンを広げた男性と、同僚と思しき中年男性の2人組がいた。

一人は黙々とパソコンをたたき、その合間にちょこに口をつける。なんともうらやましい労働スタイルだ。

「どんな使い方をされても問題ありません」と笑うのは専務の若店主。酒の味を広く知ってもらいたい、との思いでこのスペースを作ったとか。

試飲コーナーに入る前に200円のコインを購入する。マシンに投入してボタンを押すと、大きめのおちょこに8割ほど酒が注がれる。

『宮寒梅 純米大吟醸』を試飲。フルーティーだがうまさも感じられる店主イチオシの酒。
並んだ能書きを読みながら、酒を舌にのせる。初めて飲む酒が、言葉を伴って胃に落ちていく。こうやって飲むと酒の個性がよく分かる。
選ぶのに迷った時、自分にぴったりの酒をチョイスしてくれる機械。
口の中で香りを楽しんでいると、立派な飲み手になったような気がしてきた。
気に入った酒は四合瓶などで購入可。飲み切れずに余ったコインは換金してくれる。
隣客はこの後、どこへ飲みに行こうか思案している。
試飲の商品は入れ替わるので、いつ行っても新しい酒に出会える。
蒲田にはいい酒場がたくさんあるから、ここで待ち合わせして2軒目にいくのは名案だと思った。
酒屋旭屋
東京都大田区西蒲田7-49-10 酒屋旭屋内
03-3734-7117
営業時間:10時~20時
休み:無休(元日のみ休み)

「週刊実話」2025年3月27日号より
※情報は取材当時のものです

撮影・文/キンマサタカ

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