「2040年、消化器外科医5000人不足」厚労省発表の衝撃報告書にがん患者団体が悲鳴

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医療ドラマといえば、主役は外科医が多い。『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)しかり、『ブラックペアン』(TBS系)しかりである。

医師の中でも「花形」といわれ、メディアから「神の手」「スーパードクター」などと持て囃されてきた外科医は、かつて医学生の憧れだった。

だが、それも今は昔。そもそも少子化が続き、現役世代は減少傾向にあるわけだが、長時間にわたる手術や、休日・夜間の救急対応といった厳しい勤務状況を理由に、若手医師は外科医になることを敬遠するようになっているという。

厚生労働省のがん診療に関する検討会は、がんの手術などを行う消化器外科医が、2040年には約5000人不足するという衝撃的な内容を盛り込んだ報告書をまとめた。

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国民皆保険制度が裏目!?

消化器外科医は外科医の約7割を占める。食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、膵がんなどを担当している。報告書は「必要な医師数が確保できず、現在提供できている手術療法ですら継続できなくなる恐れがある」と指摘した。

あるがん患者団体の関係者は「今ですらがんに罹患してから手術を受けるまで何カ月も待たされることはよくあるのに、今後は医師不足でさらに待たされるのなら、生きた心地がしない」と顔を青ざめる。

「’43年には高齢者人口がピークに達します。2人に1人ががんになる時代とはいえ、各世代でまんべんなくがん患者が存在しているわけではなく、高齢者に多いのが実情です。
そのため、人口減社会といっても高齢化を背景にがん患者は今後増えることが予想されます。外科医不足は深刻といわざるを得ません」(厚生労働省担当記者)

先の報告書では「医療機関の集約化を検討する必要がある」としている。そうすれば、効率性は上がり、外科医は休みも取りやすくなるという。

日本は誰しもが重い負担をせずに質の高い医療が受けられる、世界に冠たる国民皆保険制度を実現させた。だが、早急に体制を見直さなければ、それも有名無実化になりかねない。

「週刊実話」9月11日号より