山口百恵『横須賀ストーリー』は歌謡曲の表現世界を変えた!“これっきり♪”じゃなかった功績

大ヒットの秘密は真ん中の「っ」

加えて「♪これっきり これっきり」のリズム感。「♪これっきり れっきり」、何だか気持ちよくって、歌いたくなりません? やはり「これっきり」の真ん中の「っ」が効いているのでしょう。

『横須賀ストーリー』の6年後の’82年に、ヒロシ&キーボーの『3年目の浮気』という曲がヒットしましたが、あの曲の歌い出し「♪馬鹿いってんじゃないよ」のノリのよさにも今から考えたら「っ」が効いていたなぁと思ったりします。

ソングライターチームは「作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童」。この夫婦コンビを指名したのが山口百恵自身だったらしい。

ちなみに、この曲リリース時の山口百恵は弱冠17歳。この年齢にして、ソングライターを指名し、この「私小説アイドル歌謡」を堂々と歌い上げた。というわけで、とにかくこの曲は、早かったのです。

山口百恵はこの曲で、この年の紅白の紅組トップバッターを務めます。そしてたった2年後、’78年の紅白ではなんと紅組のトリに大抜擢。さらにたった2年後の’80年に結婚・引退――。

早い早い。早過ぎた山口百恵。まるで横浜横須賀道路を100キロ、いや「百」キロで飛ばす真っ赤なポルシェのように。

「週刊実話」9月11日号より