“石破おろし”最終戦 揺れる自民党、つづく不安定政治

反石破派は党内&県連に総裁選前倒しを打診

野党との協力関係はどう進めるのか。

維新との連立が取り沙汰されているが、別のベテラン議員によると、自公維連立には、首相の盟友である公明党の斉藤鉄夫代表から8月下旬、維新が給付金に強く反対していることを理由に、改めて難色を示された。

このため首相は「給付金取り下げが連立の条件なら受け入れられないとして、当面は自公の少数与党のままでいこうと考えている」という。

代わりに、立憲民主党の野田佳彦代表とのパイプを強化。

企業・団体献金の規制強化や、給付付き税額控除の検討を進めるための「与野党協議会」を立ち上げ、自公立を軸に、10月上旬の開会を想定する臨時国会を乗り切る算段を描いているようだ。

対する反石破勢力はどう結集し、石破おろしの実現を図っていくのか。

お盆前に、反石破の中軸である麻生太郎党最高顧問と茂木敏充前幹事長が東京都内のホテルで会談し、「参院選大敗の責任を取るのは民主主義の基本原則だ」として首相に8月末までの自発的辞任を促す方針を確認。

旧安倍派の萩生田光一元政調会長や西村康稔元経産相らとも共有した。

旧茂木派の中堅議員によると、茂木、萩生田両氏らは「既に党所属の過半数の議員から、総裁選前倒しへの賛意を取り付けており、同調する議員と手分けして各都道府県連への働きかけを強めている」という。

「萩生田氏は『衆院選と都議選、参院選と大きな選挙に3連敗して、トップが責任を取らないなどあり得ない。大義は間違いなくこちらにある』と訴えている。
首相が居座るなら、民主主義のために総裁選の前倒しはやむを得ないと多くの議員が考えるはずだ」(同)

総裁選になれば、反石破陣営からは、既に意欲を表明している高市早苗前経済安全保障担当相と加藤勝信財務相、小林鷹之元経済安保相が出馬。「決選投票に残った候補に最後は票を集中させて勝ち抜く」(同)算段だという。

萩生田氏に近い別の中堅議員は「幹事長は萩生田氏、政調会長は小林氏がなるだろう。首相指名選挙では国民民主党に協力してもらい、副総理兼財務相に茂木氏、官房長官には西村氏が就くのではないか」と、用意周到な人事構想まで持ち上がっていると明かす。

仮に石破首相が続投しても、リーダーシップの欠如は覆い隠しようがなく、政権運営が好転する見通しは立たない。

一方で、石破おろしが功を奏しても、政権の枠組みが見えず、不安定な政治状況が続く可能性が高い。どちらに転んでも、日本の政治は漂流したままとなりそうだ。

「週刊実話」9月11日号より