史上初の2度目の三段目落ち 十両返り咲きの31歳ベテラン力士・朝乃山が臨む秋場所

高砂部屋の公式サイトより
大相撲夏巡業たけなわ。力士たちは目下、涼しい北海道を回り、東北、北陸を南下中だが、酷暑の東京に残留し、汗まみれになりながら黙々と稽古に励んでいる力士たちもいる。

そんな過酷な夏を過ごしている力士の1人が先場所後、晴れて十両復帰を決めた元大関の朝乃山だ。

朝乃山が左膝じん帯断裂の重傷を負ったのは、昨年の名古屋場所4日目の一山本戦だった。

立ち上がることができず、車椅子で相撲診療所に運ばれ、3場所連続全休。2度目の三段目落ちという悲運を味わった元大関は、もちろん、朝乃山が史上初だ。

そこから這い上がり、再始動から3場所での十両復帰。喜びもひとしお、と思いきや、さにあらず。

同じ高砂部屋の朝白龍、石崎改め朝翠龍と3人一緒での関取昇進が決まったとき、朝乃山の姿は記者会見場になかった。

同部屋から3人同時の関取昇進は46年ぶり。朝乃山は風邪で39度の発熱をしていたこともあったが、「(返り咲きの)自分はいらんかな、と思った。ここは通過点。なんの喜びもないですから」と心はすでにはるか上を睨んでいたのだ。

【関連】大の里&豊昇龍の“大豊時代”はもう無理? 安青錦との“大安時代”到来か ほか

“前途はイバラの道”か!?

朝乃山が名古屋から帰京し、稽古を再開したのは夏巡業が始まった翌日の8月4日。さっそく四股やすり足などで体を動かした。

「部屋での稽古だけでなく、ジムに通い、筋トレにも励むそうです。いかに朝乃山が不退転の決意を固めているかが分かります」(大相撲担当記者)

現在、幕下以下が締めている黒マワシは、関取用の白マワシが解禁される秋場所の番付発表日(9月1日)がくると、「捨てますよ。2度と締める気はないですから」と言う。

「ただ、31歳といえば、決して若くないですからね。一方で、幕内に目を転ずれば、名古屋で優勝した琴勝峰をはじめ、安青錦、草野、藤ノ川ら、若手の台頭が著しい。
そこにベテランの域に達した朝乃山が割って入っていけるか。“前途はイバラの道”と言っていいでしょう」(協会関係者)

秋場所初日は9月14日。

「週刊実話」9月4日号より