90歳過ぎても元気のために、50歳過ぎからできること 脳神経外科医・酒向正春氏が伝授

『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』講談社/1,500円(本体価格)
『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』著者:酒向正春(さこう・まさはる)
1961年、愛媛県宇和島市生まれ。愛媛大学医学部卒。脳卒中治療を専門とする脳神経外科医となる。その後、初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長となり、脳リハビリテーション医として活躍中。

筋肉は動かさないと1カ月で約30%萎縮する

――筋肉、骨、脳は50歳以降から萎縮するとあります。
酒向「萎縮は加齢現象です。筋肉は50歳以降に毎年1%減少。病気や怪我などで筋肉を動かさないと、1週間で10~15%の急激な萎縮を起こし、1カ月までに30%程度萎縮します。
一方、骨も萎縮が進み、骨粗しょう症を起こします。女性では更年期後に急速に進行します。脳は徐々に始まり、70歳以降に脳萎縮が進行します。これらはすべて連動しており、『脳筋連関』と呼びます」

――年齢よりも20歳若い体を維持するにはどうしたらいいのでしょうか?
酒向「筋肉量を増やすことで、筋力と体力を高めることができます。男性は握力43キロ以上、女性は27キロ以上にすることを目標とした筋力増強計画が推奨されます。
筋肉量が維持されると、骨機能が維持されて、バランスと柔軟性が保たれます。それにより、屋外活動や人との交流を維持でき、交流機会が増えることで、脳機能が活性化され、認知機能低下が予防できます。
面倒くさいと考えて努力しないと、認知機能は確実に低下していきます」

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楽しいこと、気持ちいいこと、会いたい人がいることも重要

――「酒向メソッド」とはどんなプログラムですか?
酒向「筋肉増強と心を整えて認知機能を保つプログラムです。筋肉増強は大きな筋肉を鍛えて、特にお尻と太ももを増強します。
大胸筋や三角筋、大臀筋など8部位のストレッチと筋肉増強を実践して、最後にクールダウンで呼吸を整えます。
一方で、毎日の暮らしに楽しいこと、気持ちいいこと、会いたい人がいることを心がけます。リラックスやリフレッシュができる間は、認知症を予防できます。サコーメソッド実践ジムに通うことも有効です」

――快適な後期高齢者生活を送るにはどうしたらいいのでしょうか?
酒向「50歳を迎えたら、筋肉を意識した健康的な体づくりに取り組むことが重要です。もしそれを過ぎていても、今この瞬間からでも健康寿命を伸ばすことは可能です。まず実践です。
『筋肉革命95』を読んで、80歳で8割が就労し、95歳で非介護を目指しましょう。そのためには毎日立ち座り訓練で連続30~50回を3回繰り返せる脚力が必要です。
3~10キロ程度の重りを持って立ち座りするといいでしょう。さらに、居心地のいい居場所を作り、生き甲斐を持ち、家族的・社会的・精神的役割づくりをすることです。
人が喜んでくれる顔を見ると幸せになれます。常に人の笑顔を増やすことを心がけましょう」

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」9月4日号より