【難読漢字よもやま話】「齷齪」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「あくせく」
【漢字の由来】
「齷」は歯がぎっしり並ぶ様、「齪」は歯がぶつかる音を表し、「細かいことにこだわりすぎる」という意味になりました。

「あくせく働く」が一般的ですが、実は平安時代から存在する古い言葉で、なんと『源氏物語』にも登場します。

【平安時代から使われていた「あくせく」】
あくせくという言葉は平安時代から使われていました。「『源氏物語』「若菜上」の巻に以下の記述があります。

「齷齪(あくせく)としたる人々の、さばかり仕うまつるを」(意訳:こせこせとした人々が、あれほどまでに取り仕切っているのを)

ここでは、宮廷行事の準備でせわしなく動く下役人たちの様子を描写しています。

この一節が登場する場面では、六条院の新年準備がテーマ。紫式部が当時の階級社会を反映した「立場による労働観」の違いを「貴族たちの優雅な振る舞い⇔下働きの者たちの「あくせく」した動き」という対比表現として使ったとみられています。

平安時代も現代も、「あくせく働く人」は組織の下層に集中。「忙しさの階級差」が存在、当時は身分、現代は役職で差が発生しています。

──1000年経っても変わらない「働く人の生態」。『源氏物語』を読むと、現代のオフィスと平安貴族社会が意外と似ていることに気付かされます。