【難読漢字よもやま話】「躊躇う」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「ためらう」
【漢字の由来】
「躊」は足踏みする様子、「躇」は立ち止まる様子を表し、「行き悩んで先に進めない」意味になりました。

【万葉集にも登場する古い言葉】
『万葉集』にも登場する古い言葉です。

「道躊躇ひ いまだ知らずも 我が背子が 行くへ」
(現代語訳:道に迷って まだ分からないわ あの人の行方が)

この歌での「道躊躇ひ」は自然環境(山道・夜道など)で物理的に立ち往生する様子を表していました。しかし、『源氏物語』(11世紀初頭)では、万葉集時代の「物理的な道迷い」から、「心理的葛藤」を表現する言葉へと発展しています。

画像はAIで生成したイメージ
また、「若紫」巻の光源氏が紫の上を引き取る場面では――。

「躊躇ひながら、夜更けぬらむと思ひて」(現代語訳:迷いながらも、夜が更けると思って)と幼い紫の上を連れ去ることにためらう心情を描く言葉として用いられています

この『源氏物語』で確立された用法が、現代の「ためらう」の基礎になっているようです。

──「躊躇う」ことは悪いことばかりじゃない! 時には立ち止まって考えることが、大切な選択につながることもありますよね。