義理の息子と家庭内不倫 禁断の愛に溺れた女性に下された衝撃の代償

「私がいることで大勢の人に迷惑がかかる」

「達也は自分もびしょ濡れになりながら、私を抱きしめ、『もう、やめよう』『母さんには俺がいるから!』と繰り返していました」

半ば放心状態だったという亮子さんはされるがままとなって、達也さんに着替えさせてもらい、寝室に連れて行かれた。

「私をベッドに寝かせると達也は部屋を出て行こうとしましたが、その瞬間、私には『また置いていかれる』といった恐怖心みたいのが湧き上がったんです。それで『行かないで!』とすがってしまいました」

そのまま2人は男女の関係になってしまったという。

「いけないことだと思うよりも『そばにいてくれる人がいたんだ』という喜びの方が大きかったですね。それまで達也は、私の実の息子に遠慮してか、あまり私にかまう方ではなかったのですが、家族になった当初から、私のことを女性として意識していてくれていたそうです」

ただ、言葉にこそ出さないけれど、責めるような目で夫を見ながら暗い顔で過ごしていた妻が、突如として生き生きし始めたことを夫は見逃さなかった。

「私のことを怪しんだ夫は興信所を使いました。それで私と達也がホテルに出入りしていたり、車の中で抱き合っている場面を写真に撮られてしまったんです」

妻と息子の関係を知ったAさんは激怒。脛に傷を持つ身でもあったし、大事な跡取り息子を責めることはできなかったとみえ、暴力や暴言の矛先はすべて亮子さんに向けられた。

「暴力は達也が不在だった時などに、鍵をかけた寝室の中で行われました。たまたまその場に出くわした達也が半狂乱になってドアを破壊して助けに来たこともあります」

「母さんから目を離してはいけない」…そう考えた達也さんは亮子さんと共に家の中に引き籠るようになる。

「最初はそんな達也がいとおしくて仕方なかったのですが、実は達也は夫の会社に入社し『次期社長』として期待されていた人間でした。このままでいたら、彼も夫の会社もダメになってしまうと思ったのです」

「私がいることで大勢の人に迷惑がかかる」

そう考えた亮子さんはDVシェルターに1人逃げ込んだのだった。

DVの後遺症でいまだに右手と左足がうまく動かないという亮子さんは、「不自由な身体でも誰かの役に立つことができる、今の生活に満足しています」と笑顔を見せるが、取材中、達也さんの名前を口にする度に瞳を揺らしていたのを筆者は見逃さなかった。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。